女性運動では私たちの声はかき消され、マイノリティ権利運動では女性の問題は後からと言われる。そんな狭間で苦闘してきたマイノリティ・先住民族の女性たちが複合的な差別の問題に挑戦する声をあげて久しい。女性たちの声が行動になり、変化の兆しをもたらしてきたこれまでを振り返り、これからの展望を読者の皆さんと共有したい。
IMADR通信195号 INDEX
特集:マイノリティ女性と複合差別 IMADR30年
発行:2018年7月30日
人種優越思想や人種差別が人類に破壊と悲劇的結末しかもたらさないことは先の世界大戦が示しています。その反省に立って国際社会が採択した世界人権宣言は今年70周年を迎えました。それから40年後、国際連帯により人種差別に立ち向かうことを誓って結成された反差別国際運動は今年で30年を迎えます。これまでの間、世界さまざまなレベルで人種差別をなくす努力がなされてきましたが、それをあざむくような動きが近年、特に人権を唱えてきた国や地域で起きています。今号では、3月21日の国際人種差別撤廃デーに行われた取り組みを中心に人種差別撤廃の今について考えてみます。
IMADR通信194号 INDEX
特集:人種差別撤廃に挑む IMADR30年
発行:2018年5月30日
2018年1月25日、反差別国際運動(IMADR)は創立30年を迎えた。1988年、部落解放同盟の呼びかけに応え、国内外の被差別団体や個人および国連の専門家などが集まりIMADRが結成された。「差別と人種主義をなくす」を目標に、被差別マイノリティが国連人権システムを使って差別撤廃に挑戦するのを支援することが、IMADRのミッションの一つとして確認された。それ以降、常に運動の中心にあったのは、世系に基づく差別と総称される部落差別やカースト制度に基づくダリットへの差別の撤廃に向けた取り組みであった。
2018年の本誌の各号では、IMADRの中心課題となってきたテーマを特集として取り上げていく。その第一弾として、世系に基づく差別撤廃の最新の状況に焦点をあてる。
IMADR通信193号 INDEX
特集:世系に基づく差別と闘う IMADR30年
発行:2018年1月25日
インドではダリット女性に対するレイプは日常的に起きているが、警察に通報された事件のうち有罪判決に至るのはわずか2%である(全レイプ事件での有罪率は25%)。加害者の大半が支配カーストに属する男性であるという事実は、被害者がダリットの女性であるという事実と深く関係している。2017年9月の国連人権理事会でもとりあげられたマイノリティ女性に対する暴力の問題について考えたい。
IMADR通信192号 INDEX
特集:マイノリティ女性に対する暴力
発行:2017年11月1日
6月15日、いわゆる「共謀罪」法が成立した。プライバシー権と表現の自由を制約するおそれがあるとし、連日、廃案を求める市民の声が聞かれた。しかし市民社会スペースが減少しているのはなにも日本だけではない。2014年のクーデター以降のタイでも表現の自由や集会の自由が脅かされ、市民社会が委縮している。他方、韓国では市民運動が大統領を退陣に追い込み、市民のための政治を取り戻した。
今号ではアジアの国々における市民社会スペースについて考える。
IMADR通信191号 INDEX
特集:アジアにおける市民社会スペース
発行:2017年8月10日
世界がポピュリズムに流されている。イギリスではEU離脱が決まり、1月には「アメリカ・ファースト」を唱えるトランプ氏が大統領に就任した。ヨーロッパでも“反EU”を主張する保護主義的なポピュリズムが台頭する可能性がある。こうしたポピュリスト的政策は人権への 深刻な脅威になっている。ポピュリズムと人権の問題についてIMADRの3人の理事が論じる。
IMADR通信190号INDEX
特集:アメリカとヨーロッパにおけるポピュリズムと普遍的人権
発行:2017年5月25日
2016年12月13日、アメリカ軍海兵隊の輸送機オスプレイが沖縄の海上に墜落した。在沖縄米軍海兵隊トップは、沖縄の人びとに謝罪するどころか「(地上に墜落しなかったから)感謝されるべきだ」と発言した。その2か月前の10月には、大阪府警の機動隊員による琉球・沖縄の人びとに対する「土人」発言があった。琉球・沖縄に対する差別や蔑視が、在日米軍専用施設の74%を沖縄に押し付けているということ以外からも見てとれる。ジャーナリスト、若い世代の国内外ウチナーンチュが、本土や海外に沖縄の声を届け、日々続く沖縄に対する不条理な現実を問う。
IMADR通信189号 INDEX
発行:2017年2月25日
2016年9月5日、「グローバル時代におけるビジネスと人権」と題して、第25回ヒューマンライツセミナーを大阪で開催した。企業が世界規模で影響を与えるグローバル時代に、人権尊重を優先課題として考えるビジネスとは何かをテーマに、第1部:「ビジネスと人権―国際社会は何を求めているのか」を髙橋宗瑠さんより、第2部:「アジアの現場から『ビジネスと人権』を考えるー日本企業が進出先で直面しうる人権課題とは」を菅原絵美さんに講演していただいた。参加者は450人、第3部の質疑応答ではさまざまな質問や意見が出た。アンケートにも多くの方が答えてくださった。それらを含め、セミナーの内容を編集部でまとめたので報告する。
IMADR通信188号 INDEX
発行:2016年11月25日
日本のメディアが過激派組織ISISを「イスラム国」と報道することで、私たちは知らないうちにISIS=イスラム教徒(ムスリム)と誤解し、間違ったイメージを植え付けられていないだろうか。日本では約11万人のイスラム教徒(ムスリム)が生活しているにも関わらず、ムスリム・イスラム教(イスラーム)について知っていることが少ないのではないだろうか。2025年には世界人口の約4分の1がムスリム人口になるという統計もあり、この世界的なムスリム人口の増加を考えれば、日本でもイスラム社会とどう共生していくかが重要になってくる。そこで、共生の第一歩である相手を「知る」ことから始めるために、日本に住むイスラム教徒の生活や本音を、当事者である弁護士、日本で働くムスリム、日本で子どもを育てる母の視点から探り、共生社会を創る糸口にしたい。
IMADR通信187号 INDEX
発行:2016年8月25日
今国会で与党が提出したいわゆるヘイトスピーチ解消法案(「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」)が5月13日に参議院本会議で可決され、今国会で成立する見通しとなった。同法はヘイトスピーチを許さないと宣言し、国と自治体がその解消にむけて取り組む責務を定めている。ヘイトスピーチの対象が「本邦外出身者」に限られていること、「適法に居住する」との要件が課せられていること、ヘイトスピーチが違法と明記されず禁止規定を設けていないなど課題はあるが、多くの人びとの声により、付則で「必要に応じ、検討が加えられる」とした見直し規定と、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の精神に鑑み、適切に対処する」などの附帯決議がつけられた。今号の特集では、同法案審議や院内集会等でも発言し、被害の現場に身をおき被害実態の調査を実施してきた専門家、川崎でヘイトスピーチと闘ってきた被害当事者から寄稿いただき、被害の実態に迫る。ヘイトスピーチ解消法を出発点として、ヘイトスピーチ根絶にむけての取り組みを進め、人種差別を撤廃する基本法の制定をめざす。
IMADR通信186号 INDEX
発行:2016年5月25日