課題と活動

スリランカの平和

スリランカ

スリランカでは英国からの独立後,多数派のシンハラ人(人口約8割、仏教徒)による政府により、シンハラ語のみを公用語とする法を定めるなど、シンハラ人優遇政策が取られてきました。そのため、スリランカ北・東部部に住むタミル人(人口約2割、主にヒンドゥー教徒)との対立が続いてきました。1970年代に入り、タミル人青年を中心に「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」が結成され、北・東部の分離独立を求めた武装闘争が開始され、1983年から2009年5月まで政府軍との内戦が続きました。

IMADRアジア委員会は内戦の時代より和平を求める運動をリードし、内戦の最大の被害者である女性と子どもの生命の安全と生活基盤の確保や自立支援の活動に取り組んでいます。IMADR共同代表の理事である、ニマルカ・フェルナンドは、30年以上にわたり人権活動家として地域のNGO・マイノリティコミュニティと活動を共にしてきました。

国連は、内戦末期の政府軍による人道法や人権侵害に関して独立した国際調査の受け入れを求めていますが、まだ実施されていません。

IMADRアジア委員会の主な活動

1.紛争被害者、難民/国内避難民のための自立支援、再定住促進、開発活動

アジア委員会では、紛争被害者・難民/国内避難民(とりわけ女性)自身が声を上げ、自立できるよう、生活支援、再定住促進などの活動を行ない、ポロンナルワ、ディキリッタ、ダンブッラなどにおいて、保育所、建物、トイレなど、インフラ整備を行っています。

2.平和構築・人権に関する提言活動と取り組み

内戦が終結したとはいえ、紛争の種はすべて解決したわけではなく、課題は山積しています。スリランカに恒久的な平和を実現するには、民族和解の政治的な決着が大前提であり、国際世論による後押しが不可欠です。IMADRは国連での提言活動をはじめ、各国がこの問題に注視していくよう働きかけています。

3. 内戦終結と残された多くの単身女性

内戦で多くの民間人が犠牲になりました。とりわけLTTEに徴用されて戦闘で命を落とした男性、そしてLTTEの関係者あるいは支持者として疑いをもたれて軍や警察に拘束されたまま行方が分からなくなった男性の数は数万にのぼります。父親、夫あるいは息子を失った女性たちは、単身で家族を養っていかなくてはなりません。長年の戦争や津波により破壊しつくされた地域において、女性が単身で生きていくことは容易なことではありません。IMADRはこうした単身女性および元LTTEの女性戦闘員を対象にした政権支援とエンパワメントのプログラムに取り組んでいます。