課題と活動

IMADRと国連

国連の協議資格をもつNGOとして活動

IMADRは1993年、日本に基盤をもつ人権NGOとして初めて国連協議資格を取得しました。それ以降、ジュネーブに事務所を置き、国連人権理事会を含む人権諸機関による協議の場で提言活動を行っています。被差別マイノリティに対する差別の撤廃や権利の確立に関する具体的な課題に関して国連による決定や勧告を導き出し、国内における問題解決や改善につながることをめざしています。また、マイノリティが国連の人権制度を活用するための情報発信の取り組みに努めています。
国連の主要な人権機関の一覧

国連人権制度活用

国連人権理事会

国連人権理事会は総会で選出される47の理事国により構成されており、少なくとも年3回 (通常3月、6月、9月)国連人権理事会は総会で選出される47の理事国により構成されており、少なくとも年3回(通常3月、6月、9月)、延べ10週間以上をかけて会合が開かれます。IMADRは人権理事会の各会期に傍聴参加をし、活動テーマに関する人権課題について、書面あるいは口頭による声明を発表したり、サイドイベントを開催しています。こうしたNGOの介入は、政府代表が中心になって議論が進められる場において、市民社会の声を反映させる重要な手段となっています。

普遍的定期的審査(UPR)

UPRは全国連加盟193ヶ国の人権実施状況を、加盟国間で審査をして勧告を出すという方式をとります。IMADRは日本のUPR審査において、他のNGOと協力しながら情報提供や提言活動を行っています。
第2回UPR日本審査のフォローアップ情報(日本政府回答)(2017年)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、国連の人権活動の中心となる機関であり、国連における人権活動に主要な責任をもつ国連人権高等弁務官が統括しています。OHCHRはジュネーブにあり、国連人権理事会、人権理事会の諮問機関である専門家助言機関や、さまざまな作業部会の事務局を果たしています。

国連人権条約および条約機関

国連にある32の主要な人権条約と選択議定書のうち、日本は11の条約と3つの選択議定書を批准しています(添付の「国連が中心となって作成した人権関係諸条約一覧」参照)。これら条約にはその条約の履行を監視する委員会(条約機関)が設置されています。各条約機関は、締約国の定期報告書の審査や、条約の個別課題に関する一般的勧告の作成や、個人通報制度のもとで個人から通報された申し立ての処理などを行います。国際人権条約の詳細については、以下をご覧ください。
国連が中心となって作成した人権関係諸条約一覧
国際人権条約の概要一覧
国際人権条約の機能一覧
国連人権条約機関から日本への総括所見・勧告(外務省)

急がれる国内法と人権制度の確立

日本は国連人権諸条約を批准していますが、それら条約の実施に必要な国内法や制度は未整備のままです。特に、最も急がれるのは差別を禁止する法律の制定であり、被害者に対する相談、調査、救済を提供する国内人権機関の設置です。さらに、自由権規約や人種差別撤廃条約、あるいは女性差別撤廃条約などに備えられている個人通報制度(国内のすべての裁判手続きを経ても救済されなかった人権侵害の申し立てを、申し立てている個人が該当する国連人権条約委員会に個人が通報できる制度)の導入が必要です。