差別に立ち向かう社会づくり

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差別に立ち向かう社会づくり

近藤 登志一(こんどう としかず)

部落解放同盟東京都連合会書記長

 

昨今、世界的に格差・貧困化が深刻化し、差別排外主義が極右政党の躍進とともに強まっています。この兆候は日本でも進んでおり、被差別者の生活を脅かしています。2016年4月「障害者差別解消法」が施行され、その3か月後の7月に「相模原障害者殺傷事件」が発生しました。同年6月「ヘイトスピーチ解消法」が成立しましたが、翌月の7月に実施された都知事選挙で「在特会」元会長が約11万票獲得しました。さらに、沖縄・高江のアメリカ軍ヘリパット建設現場で大阪府警の機動隊員による差別暴言もありました。「高校授業料無償化」からの朝鮮学校排除も続いています。

このような状況の中で、部落解放同盟東京都連合会は、今年の5月21日第58回定期大会を開催し、1年間の運動方針を決定しました。決定した運動の「基本課題」は次の6点です。①戦争、差別、格差と貧困、核と原発を許さない社会変革をかちとろう。②「全国部落調査復刻版」発行・販売・ネット公表を許さない糾弾闘争を展開し、差別主義を社会的に包囲しよう。③「部落差別解消推進法」を活用し、部落差別撤廃に向けた行政闘争を強化しよう。④最大の正念場を迎えた、狭山第三次再審闘争に勝利しよう。⑤反差別・人権のネットワークをさらに拡大、強化しよう。⑥都議会選挙に勝利しよう。

反差別・人権のネットワークづくり

「運動課題」の⑤にも関係しますが、これら運動課題を勝利するためにも、「反差別・人権ネットワーク」の拡大・強化と「運動を世代から世代へどう継承していくか」という、部落解放運動をどう組み立て、どう組織化していくかという課題が重要になっていると思います。

差別がない社会とは、法整備も必要ですが、社会のあらゆる団体や個人が差別と立ち向かっている社会だと思います。そして、各々の取り組みがネットワーク化されつながっている社会、多元的だが反差別の統一性のある社会、部落解放運動の場合、やはり地域が拠点であり、その地域と周辺とのネットワークづくりが重要かと思っています。東京の部落解放同盟各支部では、「保育園事業」を通じて、また、「高齢者支援事業」を通じて、「人権啓発の取り組み」を通じて等々さまざまな取り組みが展開されています。地域の中で反差別運動が支えられ、また地域でその役割を果たしていくといった関係ができればいいと思っています。また、東京の場合、都外からきた多くの部落出身者が生活しています。この「点在」する出身者とどうつながっていくか、これが今日的課題です。

世代から世代へ

また、若い世代とどうつながっていくか、これは部落解放運動だけではなく、社会運動全体にいえることではないでしょうか。2022年は水平社創立100年です。100年の自主的運動は、当然、世代から世代へと継承されてこそ成立します。差別が現存する限り、運動を世代から世代へとつなげていかなければなりません。子どもや孫に部落のこと差別のことをどう語るのか、これは重要な課題であり難しい課題です。あるアイヌの方がいっていました。「若い世代は差別体験がないということで運動に関わってこない人もいる。でも、ある個人に差別体験がなくてもアイヌ全体に差別は強まっている。アイヌ差別に反対すべきでは」と。これはアイヌの誇りについて語っているようにも思えます。部落解放運動も同じことがいえるのではないでしょうか。

部落解放同盟東京都連合会では「青年部」を軸に、「反差別・人権青年交流会」活動をゆっくり展開しています。比較的若い世代を中心に(「先輩」世代も関わりながら)、在日コリアン、アイヌ民族、セクシュアル・マイノリティなどの被差別当事者、若手研究者、教師などを中心にして、「反差別・人権ネットワーク」と「世代から世代へ(若い世代とのつながり)」を合わせた取り組みをしています。今後、この活動がどこへむかっていくかはまだわかりません。しかし、確実に言えることは、新しい世代が運動を牽引していく時代に入っているということです。

 

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