女性の権利の実現に向けて連帯する世界の市民社会

波多野 綾子(はたのあやこ)

ニューヨーク大学ロースクール 法学修士課程 国際法学専攻、IMADR特別研究員

 

皆様こんにちは。ニューヨークは4月上旬、まだ少し肌寒さが残っていますが、やっと桜が咲き始めました。今日は2017年3月13日から24日にかけて国連本部で開催された第61回女性の地位委員会(United Nations Commission on the Status of Women:CSW 61)を中心にお届けします。

女性の地位委員会は、国連経済社会理事会の下に1946年に設立され、女性の地位向上に取り組むための中心的役割を国連の中で果たしてきた組織です。委員会メンバーは、地域ごとに選出された45ヵ国の代表(任期4年)で構成されています。

今回の会議のテーマは、「変わりゆく仕事の世界における女性の経済的エンパワメント」で、特に女性および女児に対するミレニアム開発目標(MDGs)実施における課題および成果のレビュー、先住民女性のエンパワメントが注目されていました。162の国連加盟国、89の大臣が本委員会に参加し、さらに138か国、580の非政府組織から3900人以上の参加があり、会議開始前日には、国連パス発行センターには数時間にもおよぶ長い列ができていました。

世界中から女性の地位向上にかかる政府代表、国連機関やNGO職員等が集結し、政府間会合のかたわらそれぞれサイドイベントやパラレルイベントを繰り広げる11日間は、ほぼ毎日、隙間なく様々なイベントで埋め尽くされ、まるでお祭りのようです。パラレルイベントの中では、先住民女性の権利や社会的経済的地位向上等、NGOごとのテーマに沿ったイベントもあれば、アドボカシー・トレーニングや地域ごとのコーカス(集会)も行なわれました。各国のNGOが各々の状況や活動について意見や情報を交換し、採択文書(合意結論)のドラフトに市民社会の見地からコメントをつけ、委員会に提出します。会期中は日本政府代表団からNGOブリーフィングも2回行なわれ、政府間会合の状況がNGOに共有される機会も設けられました。また、ヌクカUN Women事務局長やグテーレス国連事務総長と市民社会とのタウンミーティングも行われ率直な意見交換が行われていました。女性の地位委員会は、市民社会の直接のアドボカシーの現場であるのみならず、エンパワメントやネットワーキングの機能も担っているのです。

最終日に採択された合意結論では、公共と民間部門におけるディーセント・ワークと有償ケア労働の促進、適切な生活水準を保証する社会保障と賃金の提供の拡大、女性のための安全な労働環境の必要性、管理職のジェンダー・バランスの改善などが言及され、また、インフォーマルな家庭内労働をフォーマル経済へ移行させることが初めて主要問題として議論されました。特に移民の有益な貢献を評価することや、移民女性の経済的エンパワメントを促進する移民政策の重要性も強調されました。本委員会の重点テーマの一つ、「先住民女性のエンパワメント」についても、先住民が所有するビジネスの創設を含めた、経済活動における先住民女性の包摂促進が合意されました。興味深いところでは、女性向けにつくられた財とサービスが男性向けのものと比べ値段が高いという「ピンク・タックス」についての議論も行われ、ジェンダーに基づき価格差異を設ける慣習を廃止することが呼びかけられました。

女性の人権に関するイシューや使われる言葉も時代によって移り変わっており、アドボカシーを行なうNGOも時代の流れを読みながら物事を動かしていく必要性があると実感する会議でした。

IMADR
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