日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書 2018年版

金朋央
(特活)コリアNGOセンター/外国人人権法連絡会運営委員

本書を発行する外国人人権法連絡会(共同代表:田中宏・一橋大学名誉教授、丹羽雅雄・弁護士)は、弁護士、研究者、人権NGOメンバーにより“外国人・民族的マイノリティ人権基本法”と“人種差別撤廃法”の制定、国内人権機関の実現をめざすネットワークとして、2005年12月8日に結成された。
連絡会の主な活動は、国や自治体に対するロビイングや政策提言、市民団体・労組・教会関係団体と弁護士・研究者・市民の広範なネットワーキング、各地域における学習会・協議会・集会などの実践がある。近年とくに深刻化する「ヘイトスピーチ問題」に対して、連絡会はいち早く2015年初頭に人種差別撤廃基本法のモデル案を作成して発表した。その後、基本法制定を求める国会ロビイングや院内集会・市民集会の開催を続け、ようやく日本で初めての反人種差別法となる「ヘイトスピーチ解消法」が成立、2016年6月に施行されて以降は、その解消法の実効化と、日本における人種差別撤廃のための包括的な法制度づくりのために、省庁交渉や地方自治体での条例づくりのための活動を、他の人権NGOなどと共に展開している。

その連絡会が毎年必ず行う活動の一つに、「外国人・民族的マイノリティ人権白書」を編集・発行すること、がある。この白書は、日本における外国人・民族的マイノリティに関連する出来事や事象、政策や当事者・支援運動などを多様な領域にわたってピックアップし、各々を専門家に執筆してもらい、まとめている。2006年から発行を続け、2018年版で12冊目となる。2018年版は、以下の9章構成で、計61項目の記事が掲載されている。
第1章 ゼノフォビアとヘイトスピーチ/第2章 人種差別/第3章 移住労働者の受け入れ政策/第4章 “先進国”日本の外国人管理体制/第5章 移住女性の権利/第6章 マイノリティの子どもたちの権利/第7章 地方自治体と外国人住民/第8章 国際人権基準とマイノリティの権利/第9章 未解決のままの国家責任を問う

たとえば第1章では、先述したヘイトスピーチ解消法施行後の国や自治体の動向、川崎市における市民運動、インターネット上や選挙活動におけるヘイトスピーチ問題、ヘイトスピーチ関連裁判など計7つの項目が盛り込まれている。第3章では、2017年11月に施行された技能実習法による「新技能実習制度」に対する解説・分析と、実際に起きた人権侵害事件や支援活動について取り上げ、技能実習制度に対して政策と現場の両面からアプローチしている。第8章では、2018年8月に控える人種差別撤廃委員会の日本審査など国際人権条約機関における動向と、先住民族であるアイヌ民族、琉球・沖縄の人々をめぐる状況について報告している。さらに巻末資料には、在日外国人の人口動態に関する図表や、主要な国際人権条約と日本の加入状況などを掲載しており、また過去の白書全ての目次一覧も掲載している。
この「人権白書」を読めば、日本の外国人・民族的マイノリティに関する最新の動向が網羅できるだろう。各項目はA4版1頁または2頁とコンパクトにまとめられているので、各テーマに関する入門書や大学の授業でのテキストとしても活用しやすい。

IMADR
メルマガ登録
 
英文ニュース登録 Amazon
Follow us
  • facebook
  • twitter