アジア先住民族連合の理事会に参加して

当真 嗣清
アジア先住民族連合(AIPP)理事

はじめに
「はいさい、ぐすーよー、今日(ちゅー)拝(うが)なびら。我んねーウチナーや読谷山(ユンタンザ)から、ゆしりてぃちゃーびたん、当真嗣清(とうましせい)んでぃ、言ちょーいびん。ゆたしく御願(うにげ)ーさびら。」(ハイサイ、皆さん、こんにちは。私は沖縄の読谷から来ました当真嗣清と申します。宜しくお願いします。)このように自分の生まれた島(国)の言葉で挨拶が出来ることはとても幸せなことだ。
2019年3月1日から2日間に渡って、マレーシアのコタキナバルでアジア先住民族連合(AIPP)の理事会が開催された。AIPPは、アジア地域の先住民族の呼びかけで1988年に設立された組織で、アジア地域における先住民族の連帯、協力、能力を強化することで先住民族の権利や文化、アイデンティティ、そして先住民族の発展のための、自己決定に基づく持続可能な資源管理システムを保護することを目的としている。AIPP理事会は年2回あり、その内1回はタイのAIPP本部で開催される。あとは毎回、各地区で開催される運びとなり、今回2019年の春はマレーシアで開催された。理事会の構成は地域代表(10名)、女性代表(1名)、若者代表(1名)の12名だ。地域代表の内訳は、南アジア地区から4名、メコン地区から3名、南東アジア地区から2名、そして東アジア地区の筆者である。理事会は青年や女性そして各地域代表からそれぞれの報告や問題提起がされ、議論、理解を深める。私が選出され、担当する東アジア地区はアイヌと琉球、そして台湾の先住民族が会員で、会議の前に各民族の代表者に報告事項をメールで聞く事を常に心掛けている。今までに琉球から2件、台湾から1件の事柄を理事会に報告した。
初日は2018年のAIPPの活動成果と課題について、翌日は2019年の計画について話し合われた。トピックは①環境問題、②人権に関するキャンペーンと政策提言、③先住民族の女性、④地域の人材育成、⑤組織強化についてなど多岐にわたったが、特に注目したのが③先住民族の女性と④地域の人材育成に関する議論であった。

先住民族の女性エンパワーメント
AIPPの女性代表は、北インド出身のエリナ・ホロが務めている。エリナはコンサベーション・インターナショナルという環境保護団体のフェローでもあり、環境保護プログラムへの先住民族の女性の参加を促す活動に取り組んでいる。その一例が、2018年にAIPPとオックスファムと共同で発表した「水資源の管理に関する先住民族女性の役割と貢献:ベトナムとカンボジアのケーススタディ」という報告書だ。報告書では、先住民族の女性たちの多くは家族のために水を汲む役割を担っており、水資源の保全が彼女たちにとって非常に身近な問題であること、また女性たちは単に水を汲むだけでなく、安全な飲み水を得るための特別な知識を持っており、水資源の管理に関して女性の参加を促すことの重要性が強調されている。今後は、女性の視点から考える先住民族の自立や、先住民族の女性を政治課題化するプログラムに力を入れていくことが決まった。

若者の人材強化
人材育成については、特に若者の人材育成について活発な議論がなされた。先住民族の権利保護に向けた活動が継続するかどうかは、先住民族の若者の人材育成と彼/彼女の参加にかかっていると言っても過言ではない。よってAIPPでは、村やコミュニティの単位で行うコミュニティ運営やリーダーシップに関する研修を重視する。というのもコミュニティの運営に若者が関わることが彼らの意識の向上につながり、コミュニティの継続の上で非常に有意義だからだ。同時に先住民族の若者の横のつながりを強化するため、アジア先住民族連合若者プラットフォームを設立した。先住民族の若者の連携の強化については、興味深い報告書も発行している。「好事例集:アジアにおける先住民族の若者のエンパワーメント」と題した報告書(2017年)では、カンボジア、ネパール、インド、インドネシア、アジア太平洋地域の5つの先住民族の若者の組織や連合体を紹介し、各団体の成り立ちから成功事例、課題、他団体へのアドバイスなどを掲載している。

アジア先住民の声ネットワークについて
人材強化についてはアジア先住民の声ネットワーク(The Indigenous Voice in Asia Network、以下IVAN)というプロジェクトも行なっている。先住民族の権利の実現や、意思決定への参加を高めるためにはメディアの果たす役割が大きいとの考えに基づき、先住民族のジャーナリストや活動家に対する研修を行ったり、コミュニティにメディアセンターを設立してさまざまな媒体で情報を発信する支援を行なっている。ちょうど、理事会の前日まで IVAN の地域集会が開催されていた。10カ国から集った参加者は、それぞれの国で先住民族の声をさらに大きく響かせようと誓い合った。
おわりに
理事会の前後に、先住民族に関連する国連各種会議参加の為の事前学習会や勉強会が開催される。今回も理事会の前に IVAN の地域集会が開催され、理事会の後にAIPP前事務局長のジョアン・カーリング、デバシシュ・ロイや国際的に活躍しているその他のメンバーを講師に、先住民族に関する国連の機構と手続きに関するアジア準備会議(Asia Preparatory Meeting on UN Mechanism and Procedures Relating to Indigenous Peoples)という名の学習会が開催された。機能的に会議や学習会などをやるのが、いつものAIPP流であり、理事や会員の皆さん、それに慣れている。

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