IMADR通信186号

特集:人種差別を撤廃する基本法の制定を!

今国会で与党が提出したいわゆるヘイトスピーチ解消法案(「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」)が5月13日に参議院本会議で可決され、今国会で成立する見通しとなった。同法はヘイトスピーチを許さないと宣言し、国と自治体がその解消にむけて取り組む責務を定めている。ヘイトスピーチの対象が「本邦外出身者」に限られていること、「適法に居住する」との要件が課せられていること、ヘイトスピーチが違法と明記されず禁止規定を設けていないなど課題はあるが、多くの人びとの声により、付則で「必要に応じ、検討が加えられる」とした見直し規定と、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の精神に鑑み、適切に対処する」などの附帯決議がつけられた。今号の特集では、同法案審議や院内集会等でも発言し、被害の現場に身をおき被害実態の調査を実施してきた専門家、川崎でヘイトスピーチと闘ってきた被害当事者から寄稿いただき、被害の実態に迫る。ヘイトスピーチ解消法を出発点として、ヘイトスピーチ根絶にむけての取り組みを進め、人種差別を撤廃する基本法の制定をめざす。

 


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発行:2016年5月25日