IMADR-JC通信178号

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特集:識字と人権
 今年のヒューマンライツセミナーは「しきじのいま、そしてこれから ――世界・日本」をテーマに開催される(7月2日、背表紙の案内ご参照)。それに先立ち、今号では、人権と深いつながりをもつ識字を特集としてとりあげた。日本では部落解放運動が村の大人たちの文字を取り戻し、子どもたちが教科書をもって毎日学校に通えるようにするために、識字運動と同和教育に早くから取り組み、さまざまな実績を積んできた。その取り組みは形を変えながら引き継がれてきた。日本における識字の今日の課題について、全国調査の結果を分析しながら、部落解放・人権研究所の棚田洋平さんに報告をしていただいた。具体的な識字クラスについて、日之出よみかみ教室で学習パートナーとして支援活動をしている菅原智恵美さんにいきいきとした報告を書いていただいた。10年近く、部落解放・人権研究所のもと民間レベルでの識字の取り組みの支援事業を実施してきた安田識字基金について、当初から関わってこられた友永健三さんに報告をしていただいた。安田識字基金では、国内のみならず、アジアにおける識字の取り組みを支援してきた。インド、ネパール、スリランカなどのマイノリティコミュニティの女性たちによる識字の取り組みは、文字の読み書きの域を超え、女性たちの権利意識の高揚やエンパワメントへとつながった。ネパール山間部のダリットの村の女性たちとの会話を通して、文字の読み書きができないことの意味を二次体験を通して捉えることができた白根大輔さんに、その報告を書いていただいた。識字は人権であり人間の解放であるというメッセージが、これら執筆者の方々の報告から伝わってくる。


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発行:2014年5月25日