国連人種差別撤廃委員会(CERD)は警察官による黒人男性殺害をうけ 合衆国に対して早期警戒緊急行動手続きをとりました。
2020年6月12日、国連人種差別撤廃委員会(CERD)は2020年5月25日にミネアポリスでジョージ・フロイドさんが警察官により殺されたこと、および合衆国において長年、警察官や一般人による武器をもたないアフリカ系アメリカ人の殺害事件が多数起きてきたことを深刻にうけとめ、早期警戒緊急行動手続きをとりました。これは、人種差別撤廃条約締約国の管轄域において、人種差別を起因とした重大な人権侵害の生起が切迫しているなどの状況への対応として、委員会が当該政府に発出するものであり、委員会独自の手続きです。この手続きのもと、早期警戒緊急行動は、個人あるいは団体から受けた通報により委員会が出す場合と、今回のように第三者からの要請にはよらずに委員会が判断して出す場合があります。
この手続きのもと、委員会はアメリカ合衆国政府に対し、主に以下の行動を促しました。
* 人種差別撤廃条約に基づき締約国が負う国際的責任を全面的に果たすこと。
* ジョージ・フロイドさんの死亡事件を調査し、容疑者を訴追し、有罪の場合は犯罪の重大性に相応した刑罰を科すこと。
* 警察官の違法行為の監視を強化し、現在進行中の平和的抗議の状況下も含み、法執行職員による行き過ぎた武力行使の申立ての一つひとつを、人種、肌の色、世系、民族・種族的出身に関わらず、迅速かつ効果的に調査をし、加害者とされる者を訴追し、有罪の場合は適切な刑罰を科すこと。
* 平和的な抗議が行われているなかで、治安のために軍を出動するという考えを絶対にやめること。
* 人種プロファイリングおよび人種的および民族的マイノリティに属する人びとへの法執行職員による過剰な武力行使を実質的に禁止してなくすための努力を強化すること。
* アメリカ社会に構造的な人種差別が存在することを公に認め、人種的な動機によるアフリカ系アメリカ人およびその他のマイノリティの殺害を明白かつ無条件に拒否すること。
* 連邦政府および州当局は、人種的動機の犯罪の被害者の権利を考慮に入れながら、警察および刑事裁判制度における人種により異なる影響や構造的差別をなくすことを目ざした改革を迅速かつ適切にとること。
* 連邦政府および州当局は、法執行職員のトレーニングや教育のカリキュラムに、人種差別撤廃条約が広く普及されるよう確保すること。
* 2017年11月20日期限であった合衆国の第10・11・12回定期報告書を至急に提出し、本文書に含まれている勧告を効果的に実施するためにとった措置に関する情報もそこに含めること。
以上