2020.06.19

Black Lives Matter –IMADR 人権理事会で声明

コロナパンデミックによる中断の後、6月15日に再開された第43会期国連人権理事会は、6月17日、人種差別に関する緊急ディベートを開始しました。緊急ディベートでは、アメリカ合衆国で起きた警察官によるフロイドさんの殺害とそれに続く人びとの人種差別に対する抗議のうねりが示しているように、法執行に根をはる構造的な人種差別と法執行官による黒人の虐待や暴力の問題をはじめ、制度的な人種差別について国連人権理事会が調査を行うという決議案が議論されています。

人種差別撤廃委員会そして人種差別特別報告者などの国連特別手続きは、合衆国に対して、国際人権法遵守、今回の事件の正当な裁判手続き、法執行システムに潜む制度的な人種差別の検証と撤廃、人種プロファイリングの根絶などを求める声明や勧告を出してきました。IMADRもウェブサイトや SNS を通してこれら声明について報じてきました。

国連協議資格をもつNGOとして、IMADR は6月18日、緊急ディベートの議場において口頭声明を読みあげ、アメリカ合衆国における制度的人種差別の問題に関する調査を人権理事会が行うよう求めました。緊急ディベートの決議案の採択は数日内に行われる予定です。

<IMADR口頭声明>  日本語  英語原文

議長

はじめに、Black Lives Matter 運動への私たちの連帯を表明いたします。

私たちは、設立以来求められてきたこの問題に関する議論を、緊急ディベートでとりあげるという人権理事会の決定を歓迎いたします。

2016年、アフリカ系の人びとに関する専門家作業部会がアメリカ合衆国に関する報告書を人権理事会に提出したとき、私たちはUS人権ネットワークと共同で口頭声明 を行いました。今日、この場において、私たちは、合衆国における説明責任、正義、そして刑事司法制度に存在する人種主義と差別の終焉を求め、同じ要請を繰り返さなくてはならないことを非常に残念に思います。

2001年の合衆国の初の審査以来、人種差別撤廃委員会(CERD)はアフリカ系の人びとおよびその他のマイノリティへの法執行官による行き過ぎた武力行使に対する説明責任、被害者への適切な補償、そして人種プロファイリングの根絶を確保するよう、合衆国に繰り返し勧告を行ってきました。

これら記録より、合衆国は国際人権法、とりわけあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(ICERD)の遵守を系統的に怠ってきたことは明白です。合衆国内に制度的人種差別と闘う政治的意思が存在しない限り、人権理事会が人種差別の被害者の保護という役割を担わなくてはなりません。この背景より、私たちは、合衆国における法執行に潜む構造的人種差別とその他関連する人権侵害に関する独立した国際調査への支持を表明します。

ありがとうございました。

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