■ターク人権高等弁務官、ヨルダン川西岸地区の人権状況の急速な悪化に警鐘、暴力の停止を求める
2023年12月28日に発表された国連報告書は、2023年10月7日以降、東エルサレムを含む占領地ヨルダン川西岸における人権状況が急速に悪化していることを詳述し、イスラエルに対し、パレスチナ住民に対する違法な殺害やイスラエル人入植者による暴力を停止するよう求めている。
報告書は、警察活動中の軍事兵器や手段の使用を直ちに停止すること、パレスチナ人の恣意的な拘束や虐待を停止すること、差別的な移動制限を解除することを求めている。
国連人権事務所は、イスラエル南部でのハマスや他のパレスチナ武装集団による攻撃以来、2023年10月7日から12月27日までに、東エルサレムを含む占領地ヨルダン川西岸で、79人の子どもを含む300人のパレスチナ人の死亡を確認した。このうち、イスラエル治安部隊が少なくとも291人のパレスチナ人を殺害し、イスラエル人入植者が8人を殺害し、イスラエル治安部隊あるいは入植者が1人のパレスチナ人を殺害した。10月7日以前、2023年1月から10月までの10カ月間に200人のパレスチナ人がこの地域で殺害されており、国連が2005年に記録を取り始めてから、10カ月間の記録では最多となった。
ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官は、報告書の調査結果について、「法執行の文脈における軍事戦術手段や武器の使用、不必要または不均衡な武力の行使、パレスチナ人に影響を及ぼす広範で恣意的かつ差別的な移動制限の実施は、極めて問題である。」と述べた。
さらに、「この報告書に記されている侵害は、長年にわたるイスラエルによるヨルダン川西岸地区の占領という状況の中で、過去に報告された侵害のパターンと性質を繰り返している。しかし、暴力と弾圧の激しさは、ここ数年見られなかったものだ。」と付け加えた。
■「ロシアはウクライナに対する武力の行使を直ちにやめるべきだ」とターク人権高等弁務官が断言
(ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官の国連人権理事会での応答より)
最近、平和という言葉をあまり耳にしなくなりました。
ウクライナ情勢は、絶え間なく続く一連の苦難にあらたに加えられた一つであり、世界の関心は、私たちが直面している複数の危機に飽き飽きしているかのようです。私はウクライナの人びとのことを思います。人びとは国連憲章と国際法に従って平和を享有する権利と資格があります。しかし、今はそれどころではありません。私は、紛争が長期化し定着することで、今後何世代にもわたって人びとの生活や人権に影響が及ばないかと恐れています。
ロシアによる本格的なウクライナ侵攻から662日が経過しました。私の事務所は、ウクライナ人権監視団(HRMMU)による広範な監視と記録を続けています。何十年もかけて培われた厳格な手法によるものです。この作業では、主にロシア連邦軍による、国際人権法の重大な違反、国際人道法の重大な違反、戦争犯罪が明らかになり続けています。
その中には、2022年2月以降、ロシア軍に支配された地域、あるいはロシア連邦に占領された地域で、民間人が略式で処刑された142の事例が含まれています。占領地では、性暴力を含む被拘禁者に対する広範な拷問や虐待、多数の強制失踪が記録されています。
さらに、ロシア連邦は、攻撃の影響から民間人や保護された民間物を保護するための適切な措置をとっていません。
全文はこちらから:
Russia “should immediately cease its use of force against Ukraine,” Türk declares
■お知らせ:
国連人権理事会第55会期が2月26日から4月5日までの日程で開催されます。ECOSOC協議資格のあるNGOは、サイドイベントの開催の申請(1月15日受付開始)や書面の提出(1月22日受付開始)を行うことができます。
詳細はhttps://ngoreg.ohchr.org