2024.02.2

国連人権アップデート 02/02/2024 No.4

すべての人の人権を前進させる経済の構築を

 「今こそ経済政策へのアプローチを大きく転換する時です。人権を国際金融の仕組みの中に組み込む時です」。フォルカー・テュルク国連人権高等弁務官は、人権2030アジェンダに関する第6回国連人権理事会会期間会合でこう述べました。
 この会合は、加盟国、専門家、国連パートナーおよび市民社会組織が、国際金融の仕組みの見直しの中で、人権を取り入れ、人権を保護し、平等と社会正義を促進する「人権経済」に向かうための具体的な提言を出す機会となりました。
 新型コロナウイルスのパンデミックの影響、物価上昇、気候変動による緊急事態が重なり、多くの途上国にとって、持続可能な開発目標(SDGs)の達成と人権の実現に向けた投資に十分な財源を捻出するのは容易ではありません。
 記録的な債務残高と高金利により、多くの途上国政府は、保健、教育、貧困撲滅よりも対外公的債務の返済に予算を回しているため、人権が危機に陥っています。国際金融機関が奨励する経済改革や緊縮策は、人権義務よりも債務返済義務を優先しています。
「あまりに長い間、経済は人権立ち入り禁止区域であると考えられてきました」と国連人権持続可能担当者は述べ、国家予算やその他の経済政策決定の側面は人権によって導かれるべきであると付け加えました。
 「国際金融機関は人権に縛られることはないし、その権限もありません。しかし、現実には、国際金融機関が支援する国には義務があり、人権はその方程式に含まれなければなりません。国際金融機関は、人権に投資するための財政的余地を制限するような緊縮財政を行うべきではありません。」 とも述べました。

世界人口の半分である33億の人びとは、保健や教育より借金返済の充当に追われている国に住んでいる。

国際金融システムは破綻している。多くの国は、人権とSDGsに持続的に投資できる力がまったくない。

*テキストは下記ウェブ記事より引用のうえ翻訳

記事全文
Building economies that advance human rights for all

 強制失踪作業部会 36カ国 2000 ケース超を検証

 国連強制失踪・非自発的失踪作業部会は、ジュネーブにおいて、1月29日から2月2日まで第132回会合を開き、36カ国から寄せられた 2190 件の事例を検証します。また、4つの非国家主体によって行われた強制失踪に準ずる事例についても検討します。
部会のメンバーである5人の独立専門家は、強制失踪者の親族、国家代表、市民社会グループ、その他のステークホルダーと面会して、個々の事例や、強制失踪に関する構造的な問題、課題について情報交換を行います。
 作業部会は、特に移民、難民、庇護申請者の文脈において、保護と逆行する法律や慣行、また強制失踪の事例への対処がうまくいかなかった例など、「強制失踪からのすべての人を保護する宣言」の実施において障壁となっている事項に関する申し立てを検証します。
 作業部会は、2019年のキルギスタンとタジキスタン訪問のフォローアップ報告書、2023年10月21日から26日までのアフリカ連合およびその他の地域機関の司法・人権機関への訪問報告書、現在情報提供を受け付けている選挙の文脈における強制失踪に関する報告書など、2024年9月に人権理事会に提出される国別訪問およびテーマ別報告書についても議論します。

記事全文
Enforced disappearance: UN expert group to review over 2000 cases from 36 countries

【翻訳・抄訳:反差別国際運動(IMADR)】

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