2024.03.4

「包括的反差別法制定のための実践ガイド」日本語版

すべての国そして社会における平等と無差別の普遍的な実現には包括的な反差別法が必要であるという信念のもと、国連は『包括的反差別法制定のための実践ガイド』を作成しました。すべての人に向けて作られたこの実践ガイドの日本語版を、IMADRは国連の許諾をえて作成をしました。

実践ガイドは、表紙の画像をクリックすると閲覧・ダウンロードが可能です。

*テキスト版でお読みになりたい方は IMADR までご連絡をください。

黄色、緑、水色、赤、オレンジの色でランダムに縁取られた正方形の画像。

発刊のことば
林陽子
2023年は1948年の国連総会で世界人権宣言が採択されてから75周年にあたります。世界人権宣言は、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利において平等である」という第1条から始まり、すべての人が法の保護を平等に受け、差別されない権利を持っていることが、すべての人権および自由の基盤となっています。
この75年の間、国連の人権システムは大きく発展し、世界人権宣言を法典化した国際人権規約をはじめとして、9つの主要人権条約およびその選択議定書が策定され、締約国の数も大きく増大しました。また、欧州、米州、アフリカをはじめとする地域人権機構の発展も特筆すべきものがあります。
しかしながら、21世紀が明けて20年以上たった現在、地球上になお差別や虐待は後を絶たず、これらの国際人権法に規定された人権が、具体的に護られているのかが問われています。国連高等弁務官事務所(OHCHR)は、2022年に国連加盟国のすべてが、世界人権宣言75周年である2023年中に、包括的な反差別法を制定することを求めており、具体的にどのような内容が法律に含まれるべきかについて指針を示すための実践ガイドを公表しました。
この和文の実践ガイドは、国連から翻訳の許諾を受けた反差別国際運動(IMADR)が作成したものです。国連からの許諾を受けるに際しては、OHCHRのクロード・カーン氏にお世話になりました。IMADR事務局長代行の小森恵さんには、翻訳チーム全体のコーディネートに関して大変お手数をおかけしました。また、冒頭のエグゼクティブ・サマリーの訳出に際しては、古谷修一教授(早稲田大学法務研究科、前自由権規約委員会委員)に監訳の労を取っていただきました。

本書が差別をなくしすべての人の人権が尊重される社会の実現に役に立つものとなるよう願うものです。

弁護士
IMADR「包括的反差別法制定のための実践ガイド」日本語版作成チーム代表

2023年10月31日
赤、灰色、紺、青、水色、緑の色でランダムに縁取られた正方形の画像。

How to Use「包括的反差別法制定のための実践ガイド」日本語版

IMADR「包括的反差別法制定のための実践ガイド」日本語版作成チーム

実践ガイドとは
2022年12月、差別のない世界の実現には包括的な反差別法が必要であるという信念のもと、OHCHRとERTは、無差別と平等に関する長年の知見と経験に基づき、この実践ガイドを完成させました。これは法律の専門書ではなく、包括的反差別法制に関する「何でも辞典」であり、法律制定にたどりつくための手引書でもあります。世界には、こうした実践ガイドを必要とする国がまだたくさんあります。それを必要としている国の一つである日本に向けて、IMADRは国連の許諾をえて、実践ガイドの日本語版を発刊します。なお、実践ガイドはオンラインでのみ公開しており、ハードコピーでは発行していません。

何が書かれているのか
 実践ガイドは導入部と1~6部にわたる本文からなります。導入部にあるエグゼクティブ・サマリーは、本実践ガイドの要約です。また、実践ガイドを使う方法として、イントロダクション(はじめに)の最後に各部の構成を説明しています。
 本文は、包括的反差別法制に関する課題について、以下のような部門別に詳細な説明を行っています。法制に含めるべき内容に関する第2部に、最多の紙面が割かれています。全篇を通して、世界の国や地域における法制度や具体的な取り組み、注目すべき判例などもふんだんに紹介されています。

第1部:国はどのような義務のもと包括的反差別法の制定を求められているのか?
第2部:包括的反差別法はどのような内容にするべきか? 
第3部:包括的反差別法のもと、マイノリティの権利はどのように守られるべきか? 
第4部:差別的暴力とヘイトクライムはどのように対処されるべきか?
第5部:表現の自由と差別の境目はどこにあるのか、どのような表現が差別につながるのか?
第6部:平等や多様性を推進するためには何が求められているのか?

日本において包括的反差別法制定を目ざす道のりの伴走者の一つとして、実践ガイドをお使いください。

日本語版作成チーム
林陽子(チーム代表)
李嘉永(翻訳、本文監訳)
白根大輔、真栄田若菜、尾家康介、小森恵(翻訳)

特別監訳(エグゼクティブ・サマリー) 
古谷修一(早稲田大学法務研究科、前自由権規約委員会委員)

2023年10月31日

illustration by FABFIVE TOKYO

**「実践ガイド」の複製・公表の際には、出典を必ず明記してください。改変・改訂などは固くお断りいたします。
「実践ガイド」の表紙。

オレンジ、赤、緑、水色、白、黄色、紺、黒で塗りつぶされた図形が、タイル状に並んでいる。
タイルの左上には人間の目、右上には人間の耳、中央左側に人間の手、左下に人間の口、のモチーフが埋め込まれている。

『包括的反差別法制定のための実践ガイド マイノリティの権利を守る』

国際人権NGO 反差別国際運動
実践ガイド表紙(画像のクリックで、閲覧・ダウンロードが可能です)
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