人権理事会33会期(9月13日~30日)において国連人権高等弁務官が政治の世界にも広がる人種主義と外国人嫌悪の問題について懸念を表明したことをうけ、IMADRは9月14日、IMADRアジア委員会の活動拠点であるインド、ネパール、スリランカにおける人種差別と人権課題について以下の内容の意見をのべました。
インドにおいては、国連人種差別特別報告者のインド訪問の申し出を一貫して受け入れず、人種差別撤廃委員会による条約実施の審査が10年以上行われていないことに関連して、インド政府が人種差別撤廃に向けてさらに国連に協力するよう呼びかけました。IMADRはインドに関してとりわけ、ダリットの差別に関して具体的なとりくみを行っています。
ネパールについて、最近、ネパールにある国連人権高等弁務官事務所の現地事務所すべての閉鎖を政府が決めたことに懸念を述べました。新憲法のもと国内の人権メカニズムの構築が途上にあるなか、国連のサポートはこれからも重要となります。さらに、2015年の震災時の救援において、ダリットを含むマイノリティコミュニティが十分な支援をうけることができなかったことがIMADRのパートナー団体であるFEDO(フェミニスト・ダリット協会)などの調査で判明しており、その点について、制度的な差別に対する政府のさらなる取り組みを呼びかけました。
最後に、スリランカにおける内戦中および内戦終結後も続くジャーナリスト、人権活動家、一般市民の「強制失踪」問題について、国際世論が高まり、スリランカ政府は強制失踪に関する国際条約を批准したり調査権限をもつ機関を設けましたが、現時点で処罰を受けたものは誰一人いません。速やかに正義がなされるためには国際世論と監視が果たす役割は大きく、IMADRは人権理事会および人権高等弁務官事務所に対して、引き続きこの問題にしっかり取り組んでいくよう求めました。
英語の声明文はこちらでご覧いただけます。
https://imadr.org/racist-hate-speech-castediscrimination-india-nepal-transitionaljustice-srilanka-hrc33-2016-os/
人権理事会で声明を読み上げたときの動画はこちらからご覧いただけます。
https://webtv.un.org/meetings-events/human-rights-council/watch/id-ie-on-older-persons-and-wg-5th-meeting-33rd-regular-session-human-rights-council-/5121905734001