反差別国際運動(IMADR)は、非武装のアフリカ系アメリカ人の死亡に関して白人警官を不起訴とした最近の米国の大陪審の決定に遺憾の意を表し、米国政府の速やかな行動を促す要請書を12月24日に送りました。要請書の送り先は、オバマ大統領、フォルダー司法長官、ケネディ在日米国大使です。日本語訳要請書のPDFファイルはこちらから。
アメリカ合衆国における偏見に基づく法の支配と人種差別
2014年12月25日
反差別国際運動(IMADR)は、非武装のアフリカ系アメリカ人のマイケル・ブラウン氏とエリック・ガーナー氏の死亡に関して白人警官を不起訴とした最近のニューヨークとミズーリ州ファーガソンの大陪審の決定に遺憾の意を表する。特にアフリカ系アメリカ人をはじめとする刑務所における人種および民族マイノリティの過度な収容は刑事司法制度における公平性の欠如を示している。
このたび国連人種差別撤廃委員会は、特にアフリカ系アメリカ人を中心とする人種および民族マイノリティに属する非武装の人びとへの法執行官による過剰な力の行使に関して以前の懸念を繰り返した。 蔓延する偏見と差別により、法執行官はアフリカ系アメリカ人男性を社会への特定の脅威として扱い彼らを苦しめている。法執行官による違法行為を免責とした最近の二つの判決に関して、委員会の懸念を繰り返さなければならないことを私たちは残念に思う。
法の支配は客観的かつ、人種、肌の色、民族、国籍、宗教、世系に基づく差別から自由でなければならない。マイノリティ集団に属する人びとにとって、しばしば司法制度は彼らの人権が侵害された際に正義と補償を求める最後の手段である。しかしながら、最近の大陪審の決定は彼らの平等な権利を保障することを怠った。これによりアメリカ合衆国のアフリカ系アメリカ人およびその他のマイノリティの人びとの司法制度への不信は高まってしまった。これらの決定はこの国において人種差別が蔓延していることを再び明らかにした。
私たちは国内の刑事司法制度をいかなる差別もなくすべての人びとの人権を尊重および保護するために改善することを求めるアメリカ市民の声に共鳴する。さらに私たちは人種および民族マイノリティに対する法執行官による過剰な力の行使を非難する。これにおいて、アメリカ合衆国に対し「法執行官による力と銃器の使用に関する基本原則(1990年)の遵守を保証し、法執行官による過剰な力の行使を防ぐ努力を強化すること」を人種差別撤廃委員会が勧告したことを繰り返す。
私たちはアメリカ合衆国政府に以下の措置をとるよう要請する。
(a) マイケル・ブラウン氏とエリック・ガーナ―氏の死亡に関する最近の事件に関して正義を保証すること。
(b) 人種および民族マイノリティに対して法執行官が過剰な力を行使しないことを保証すること。
(c) 人種および民族マイノリティに対する犯罪行為の責任を問われている法執行官を直ちに捜査し訴追すること。
(d) 市民の平和的集会と抗議を行う権利を尊重すること。
(e) 最近の国連人種差別撤廃委員会の勧告を実施すること。
反差別国際運動 理事長 ニマルカ フェルナンド
反差別国際運動日本委員会 理事長 武者小路 公秀
反差別国際運動 事務局長 原 由利子
英語での全文は以下の通りです。
https://imadr.org/biased-rule-of-law-and-racial-discrimination-in-the-us/