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人権理事会 62会期― 28本の決議を採択し閉幕
国連人権理事会62会期(2026年6月15日開幕)は、28本の決議を採択し、7月8日に閉幕しました。IMADRの活動に関係するものを中心に、採択された決議案の一部を紹介します。

◼︎人権の享有および実現に対する偽情報の負の影響に対抗するための国家の役割に関する決議案
(*日本も提案国の一つ)
個人的、政治的、経済的利益を得ることを目的として、受け手を欺き、改ざんされた情報が意図的に作成・拡散され、人権の享有・実現に深刻で広範な悪影響を及ぼしていることを懸念する。また、武力紛争や国際人道法に反する場合を含め、偽情報(デマ)キャンペーンが、暴力を助長または長期化させ、憎悪を煽り、脆弱な立場にある個人や集団の人間性を損なうために利用されていることを深く懸念する。
こうした状況に対し、以下のことを各国に求める。
◯国際組織、市民社会、メディア、民間セクター、その他のステークホルダーとの連携強化を含む、多面的かつ多様な主体による偽情報対策を推進する環境を整備すること、
◯偽情報の被害者、特にジャーナリスト、人権擁護家、女性・少女、マイノリティ、周縁化された人びとが受けた被害を認識および対処し、必要な保護や救済措置を提供すること、
◯SNSの運営会社を含む企業が、ビジネスモデルの見直し(特に、アルゴリズムやランキングシステムが偽情報を増幅している点)、透明性の向上、利用者に適用される法的保護の確保、ビジネスと人権に関する指導原則に沿った人権デゥー・デリジェンスの促進などを通じ、人権を尊重し、偽情報に対処すること。
◯政治的またはその他の目的のために、国内/国際的に偽情報を広げたり、支援したりすることを差し控えるよう求めるとともに、そうした行為を非難すること。
◼︎言論および表現の自由に関する決議案
言論および表現の自由に関する権利が、超法規的殺人、恣意的拘束、拷問、迫害、ハラスメント、脅迫に加え、名誉毀損法や監視・検閲に関する法規定の乱用などにより侵害され、多くの場合、不処罰のままであることを深く懸念する。また、女性と少女が、デジタル環境において、テクノロジーを利用したジェンダーに基づく暴力、ヘイトスピーチや偽情報の拡散を含むあらゆる形態の差別と暴力に晒されるリスクが高まっていることを懸念する。女性のインターネットへの不平等なアクセスや利用がこうしたリスクを深刻化させるとともに、被害を防止、解決する力の不足につながることに懸念をもって留意する。
こうした状況に対し、以下のことを各国に求める。
◯関連する国内法を国際人権基準に適合させ、効果的に実施するなど、言論および表現の自由に関する権利の侵害をなくし、防止するために必要なあらゆる措置を取ること、
◯デジタル格差を解消するための適切な措置をとり、誰もが通信やデジタル技術を利用できるようにすること、
◯市民社会やジャーナリストと協議の上、オンライン・オフライン双方の課題を踏まえた国内行動計画を策定、採択、実施し、メディアの自由、独立性、多様性を促進すること。
また、以下のことを企業に求める。
◯AIを含むデジタル技術の全工程で、定期的かつ包括的な人権影響評価の実施を含む人権デゥー・デリジェンスを行い、人権への負の影響を防止・軽減するとともに、有効な救済へのアクセス、人間による監視、説明責任、法的責任を確立すること、
◯コンテンツの選定やモデレーションの方針を含む企業方針を国際人権法および基準に完全に適合させること。
◼︎ ケア・支援システムにおける女性と少女に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する決議案
女性や少女は、無償または低賃金のケアと支援を不釣り合いに担っており、こうした負担が、女性や少女の教育や訓練、雇用、社会保障、保健サービスへのアクセス、公的・経済的・社会的生活への参加を制限し、ジェンダー不平等の大きな要因となっていることに懸念をもって留意する。ジェンダーに基づく固定観念や否定的な社会規範が、女性や少女への差別を助長し、家事や無償のケア労働の過度な負担につながっている。あらゆる年齢の障がいのある女性と少女が、複合的かつ交差的な形態の差別、スティグマ、障壁により、地域社会から排除されやすく、暴力や虐待を受けやすいこと、そして、ケアの提供者であり受け手でもある障がいのある女性や少女の権利やニーズに既存のシステムが十分に対応していないことを深く懸念する。
こうした状況に対し、以下のことを各国に求める。
◯年齢、人種、ジェンダー、障がい、その他の地位、女性と少女の歴史的・社会的・経済的・文化的・政治的背景などを考慮した交差的なアプローチを用い、国際人権上の義務に従って、法案や既存の法律の見直しを検討すること、
◯婚姻の有無や雇用形態に関わらず、生涯を通じて普遍的で、利用しやすく、十分かつ包括的な社会保障にアクセスできるよう、適切な措置を取ること。
◼︎人権と気候変動に関する決議案
気候変動が、現世代の人権の享有や将来世代のニーズや利益に悪影響を及ぼしており、今後もその影響が続くことに深い懸念を表明する。気候変動の負の影響は、世界中の人びとに及ぶ一方、女性や少女、子ども、若者、高齢者、障がいのある人、先住民族、地域住民、アフリカ系の人びと、移民、貧困状態にある人など、さまざまな要因によってすでに脆弱な状況に置かれている人びとに、より深刻な影響を与えていることに懸念を表する。
こうした状況に対し、以下のことを各国に求める。
◯パリ協定と各国の状況を踏まえ、1.5o C目標の実現に向けて、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電を段階的に減らす取り組みや、道路交通から出る排出量を減らす取り組みを加速することを含む、COP28で採択された決定に示された世界全体の取り組みに貢献すること、
◯気候変動の影響を受けやすい人びとが、災害リスクの軽減に関する意思決定に参加できるようにすること、
◯気候変動の対応における国際協力を強化し、特に気候変動の影響を最も受けやすい開発途上国への支援を拡大すること、
◯ビジネスと人権に関する指導原則に沿って、環境や気候に影響を及ぼす事業活動による人権侵害を引き起こしたり、助長したりしないことを含め、人権を尊重する企業の責任を果たすようにすること。
また、多国籍企業を含むすべての企業および国際金融機関に対し、各国の法律に従い、気候変動や環境への影響を含め、人権を尊重する責任を果たすよう求める。
◼︎児童婚および強制結婚に関する決議案
過去10年間で、18歳未満で結婚する少女の割合が4人に1人から、5人に1人へと減少するなど、児童婚および強制結婚の撤廃に向けた進展が見られることに留意する一方、進展には地域差があり、依然として数百万人が強制的に結婚させられていることに深い懸念を表明する。また、紛争、経済ショック、抑圧的な社会規範により、一部の地域ではこれまでの進展が後退しつつあることに懸念をもって留意する。慣習法や制定法に基づく後見人の同意を必要とする結婚や、債務の帳消しや家族間の争いの解決を目的とした結婚が行われていることに深い懸念を表明する。
こうした状況に対し、以下のことを各国に求める。
◯国内の法制度を国際人権基準に沿って整備し、成人年齢や結婚法定年齢を定め、子どもの最善の利益と意見を表明する権利を尊重するとともに強制結婚を禁止し、出生登録および婚姻登録を義務付けること、
◯ 子どもの最善の利益を守り、ジェンダー平等を促進するために、司法、教育、保健、社会保障、ジェンダー平等などに関わる機関が連携し、政策、保護措置、支援につなぐ仕組み、行動計画を含む包括的な国のアプローチを確立すること、
◯人権をベースにした、ジェンダー対応の取り組みをコミュニティで行い、児童婚や強制結婚の根本原因に取り組むこと。
◉任期が延長されたテーマ別任務
障がい者の権利; 教育の権利; 超法規的、略式または恣意的処刑; 裁判官および弁護士の独立性; 極度の貧困と人権、これらの課題に関する特別報告者、ビジネスと人権に関する作業部会、人権と国際連帯に関する独立専門家の人気が3年延長された(2029年まで)。
*人権理事会62会期へ提出された報告書、決議案などの情報はこちら からご覧いただけます。