2024.05.18

国連人権アップデート 05/17/2024 No. 10

停戦と捕虜の解放を求める緊急声明 (5月12日)

ガザでの戦闘が長期化する中、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のフォルカー・テュルク人権高等弁務官は、停戦と捕虜の解放を求める緊急の声明を出しました。

 「イスラエル軍がガザ北部のジャバリヤとベイトラヒヤそしてガザ中央部への空爆を激化させ、ガザの状況が急速に悪化していることに深く心を痛めています。同時に、イスラエル国防軍が南部のラファからのさらなる避難を命じたことで、何十万人ものパレスチナ人がラファから避難しています。深く心に傷を負っている住民の大規模な避難が新たに生じています。また、ガザからの無差別ロケット砲撃の報告にも懸念しています。」
 イスラエル国防軍がラファ東部のパレスチナ人に避難命令を出した5月6日以降、27万8000人以上が避難を余儀なくされています。その中には、障害者、慢性疾患者、高齢者、負傷者、妊婦他、多くの人が含まれています。
 新しく出た避難指示は、ラファにいる100万人近い人びとに影響を及ぼします。人びとは今どこに行けばいいのだろう? ガザに安全な場所はない!

声明全文はこちら Urgent call for ceasefire and release of hostages

強行されるイランのヒジャブ法 (4月26日)

イランでは厳格なヒジャブ法により女性や少女が迫害を受けていると伝えられています。これに対して、OHCHRは次のように懸念を表明しました。

ジェレミー・ローレンス報道官のコメント:
 私たちは、イランの制服警官および私服警官が、同国の厳格なヒジャブ法に反対する女性や少女、そして彼女たちを支持する男性に対して、暴力的な弾圧を強行しているという知らせを受けました。15歳から17歳の女性や少女が国のあちこちで逮捕され、ハラスメントを受けていると報告されています。
 4月21日、テヘランのイスラム革命防衛隊(IRGC)のトップは、ヒジャブ着用を義務づけている法律を執行するために新たに組織を設立すると発表しました。また、IRGC隊員は公共の場で「より真剣な方法」でヒジャブ法を執行するよう訓練されていると発表しました。イランでは、何百もの企業がヒジャブ着用義務法を実施していないことを理由に強制的に閉鎖され、法律に従わない女性ドライバーを探知するために監視カメラが設置されていると言われています。
 OHCHRはまた、「貞節とヒジャブ文化の促進による家族の支援」に関する法案(さらに厳しい処罰を課すもの)が、護憲評議会により最終承認されようとしていることに懸念しています。
 法案の最新の草案は公表されていませんが、以前の草案では、義務的な服装規定に違反した場合、有罪になった者は最高10年の禁固刑、鞭打ち、罰金に処される可能性があると規定されています。体罰は残虐な、非人道的な、あるいは品位を傷つける扱いや刑罰の一形態であり、基本的自由の行使に課せられる拘禁は国際法上恣意的なものです。私たちは、この法案は見送られるべきであると改めて表明します。

コメント全文はこちら  Iran: Crackdown on hijab law

■イギリス「ルワンダの安全」法案可決される (4月23日)

イギリスでは非正規の入国者をルワンダに送還することを可能とする法案が可決しました。それについて、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、世界的な責任分担、人権、難民保護に有害な影響を与えるとして再び警鐘を鳴らしました。

 フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官とフォルカー・テュルク国連人権高等弁務官は、イギリス政府に対し、庇護申請者をルワンダに移送する計画を再検討し、その代わりに、国際協力と国際人権法の尊重に基づき、難民と移民の不規則な流入に対処する実務的な措置を取るよう求めました。
 ルワンダの安全(庇護と移民)法案は、昨年、英国の最高裁判所が、庇護申請者のルワンダへの移送計画は、国際法および英国法に違反するという判断を行った後に、英国とルワンダの庇護に関するパートナーシップ条約とともに議会に提出されまし。しかし、この法案と条約は、最高裁が指摘した保護のギャップを埋めるものではなく、むしろ、英国の裁判所が退去の決定に関して適切に精査することを制限することになり、たとえ重大なリスクに直面していても、庇護申請者の不服申し立ての余地を狭めることになります。
 「新しい法律は、難民条約に違反し、必要な人々に庇護を提供するという長い伝統から英国をさらに遠ざける」とグランディは述べました。「難民を保護するためには、危機範囲にある近隣諸国だけでなく、すべての国がその義務を守る必要がある。この取り決めは、難民保護の責任を転嫁しようとするものであり、国際協力を弱体化させ、憂慮すべき世界的な前例となる。」

記事全文はこちら  UK-Rwanda asylum law: UN leaders warn of harmful consequences

【翻訳・抄訳 反差別国際運動(IMADR)】

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