2024.05.17

【要約報告】女性差別撤廃委員会第88会期 大韓民国審査

女性差別撤廃委員会による大韓民国の審査が5月14日に行われ、委員会は国が行った女性の高等教育や科学、技術、工学、数学の科目へのアクセスを促進するために取られた措置を称賛する一方、E6-2 興行ビザを持つ移民の強制売春のリスクや男女間の賃金格差などについて質問をしました。

委員会は、高等教育および科学、技術、工学、数学の科目への女性のアクセスを促進し、ジェンダーの固定観念をなくすことを含め、前回の審査以降に締約国がとった措置を歓迎しました。また、 この分野で肯定的な結果が得られていることに触れました。 委員会はまた、カリキュラムを改訂し、学生に性の健康について教えるという勧告を締約国が受け入れたことを称賛しました。

政府代表団によると、2022年1月以降、人権侵害の発生を軽減するため、第三者によるE6-2 興行ビザの取り扱いを制限しました。 初めてビザを申請する施設には政府職員が訪問し、違法行為や搾取が行われていないことを確認しています。

政府は女性のキャリア中断を最小限に抑えるため、妊娠中や育児中の労働時間短縮などを通して、ワークライフバランス制度を拡充していると代表団は述べました。 2020年以降、男女賃金格差の自律的是正を促すため、企業は男女別賃金データの提出を義務付けられています。 政府は、出産・育児支援制度の拡充や柔軟な労働環境の整備を目指しています。

ある委員は、フィリピン人女性が韓国で売春を強要される大きなリスクにさらされていると指摘しました。 その上で、(1)興行ビザ制度を改正する計画はあるのか(2)米軍基地の近くにある潜在的に搾取的な施設はスクリーニングされているのか(3)性売買に関する情報を共有するために米国と協力するイニシアチブはあるのかと質問しました。

また、別の委員は男女間の賃金格差が31%に達していることについて、(1)この格差を是正し、女性にとってより良い労働環境を保証するために何が行われているのか(2) 多くの女性が長時間労働をしているが、労働時間を減らし、より多くの女性をフォーマル・エコノミーに取り込むために何が行われているのかを質問しました。

女性家族部 企画調整室(Planning and Coordination Office) Kinam Kim 次官(代表団長)は、報告書を紹介しながら、政府は法律や制度を改革し、社会全体にわたって女性のための政策改善に努めてきたと述べました。 両性平等枠組法(Framework Act on Gender Equality)に基づき、政府は首相を委員長とする両性平等委員会(Gender Equality Committee)を設置し、各省のジェンダー平等に関する政策を監督・調整しています。 女性の職業スキル向上を支援するため、全国159の女性再就職センターが包括的な就職支援とキャリア中断防止支援を提供しました。

一方、韓国国家人権委員会は次のように述べました。「女性家族部の廃止が計画されました。 同部は女性団体の長年の要求に応えて設置されたが、現在関連業務は他の部署に吸収されています。 同部は廃止されるべきではなく、強化されるべきです。 委員会勧告の実施に対する政府のコミットメントは、ほとんど目に見えません。 政府は、人身売買の被害者に補償を提供し、その保護を改善するための具体的な取り組みを行う必要があります。また、様々な分野で女性の代表性を高める必要もあります。 安全な中絶サービスへのアクセスを容易にすることが不可欠であり、ジェンダーに基づく暴力に積極的に取り組むべきです。 国家人権委員会の独立性を高めるための措置をとる必要もあります。」

そのほか、委員会は審査中に以下のような点に関しても質問をしました。

ー 憲法裁判所は、男性主導の家族を社会の基本的な法的単位とする家父長制 “hoju” 制度を無効にしたが、根深い差別的なジェンダーの固定観念が、家庭、職場、教育など多くの分野で根強く残っているように思われる点。

ー女性が男性の4倍もの無報酬労働(unpaid work)をしており、「キャリアを諦めて子育てに専念するように」という社会的圧力に直面しているように思われる点。

ー反フェミニズムのレトリックは、悪影響を及ぼす若者運動を生み出し、それまでの利成果を覆し、法律制定にまで波及しているように思われる点。

ー 移住者女性が医療サービスの利用やビザの問題などに直面しているように思われる点。

また、大韓民国憲法裁判所は、生後17ヶ月の 「Woodpecker」というニックネームの赤ん坊を含む、数十人の若い活動家による、気候変動の影響からの保護を国家に求める歴史的な公聴会を開始しました。 これは、子どもたちや赤ちゃんが関与した公聴会としてはアジア初のケースです。これに関連し、気候変動緩和戦略への女性や子どもの参加などに関する質問もしました。

閉会にあたり、Kim 代表団長は委員会の対話に感謝の意を表しました。韓国は、女性の政治参加の増加、ワークライフバランス制度の確立、暴力被害者への支援を通じて、男女差別を撤廃する取り組みを行ってきました。政府は、委員会の勧告を広く普及させることを約束しました。委員会議長のAna Peláez Narváez は、 委員会との建設的な対話について代表団に感謝しました。また委員会は締約国の取り組みを称賛し、委員会が行った勧告に取り組むためにあらゆる努力をするよう促しました。

▶︎要約全文(英語)はこちら

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