2023年1月31日、国連欧州本部において日本のUPR審査(普遍的定期的審査)が行われた。これはすべての国連加盟国が約4年半に一度のサイクルで受ける人権審査であり、日本はこれで4回目となる。国連の人権諸条約を基準にして、193の国連加盟国がお互いに審査をしあう制度である。
3時間半に及ぶ審査では、115カ国の政府代表が日本の人権状況に関して約300項目にわたる勧告を出した。審査のレポートは2月3日に採択され、次は日本政府が国連人権理事会第53会期(2023年6月19日~)までに、これらの勧告の一つひとつに対して態度表明、すなわち勧告を受け入れるか否かを決めなくてはならない。
もっとも多く勧告に取りあげられた問題は、死刑廃止あるいは執行のモラトリウム(一時停止)と、独立した国内人権機関の設置であり、どちらも29項目の勧告がなされた。この2つの人権課題は2008年の第1回のUPR審査から毎回指摘されている。死刑制度の存置も国内人権機関の不在も、多くの国にとってはもはや過去の問題であり、日本は世界から取り残された形である。さらに、差別禁止法の制定を促す勧告が22項目あった。ジェンダーに関する勧告も多数あり、ジェンダー平等、女性の政治・経済・社会参加のボトムアップ、同性婚の法的認知、SOGI差別の撤廃、リプロダクティブヘルスの保護など、69項目に及んだ。移民、難民に対する入管施設での処遇の問題、長期収容の問題、難民の受け入れ、外国人労働者の問題など、21項目に及んだ。
今回のUPR審査の勧告は、今、日本において問題となっている公人によるヘイトスピーチの問題、一部政治家の間の性の多様性に対する頑ななまでの不寛容さ、そして難民や移民に対して優しくない社会のあり様を色濃く反映している。