ナチスによるホロコーストの犠牲はユダヤ人だけではない、50万人ものロマがいた。
「ガス室と死体焼却場につながる線路は、わたしたちのバラック群のすぐ横を走っていた。人間を焼いた悪臭が、ずっしりと大気に漂っていた。」 ヘルミーネ・ホルヴァート『ナチス体制下におけるスィンティとロマの大量虐殺』より
人種優生思想のもと、「劣等人種」の絶滅を目ざしたナチスは、ユダヤ人やその他の少数民族に加え、“ジプシー”(スィンティとロマ)も殺戮しました。1943年初めにアウシュヴィッツ・ビルケナウに建てた “ジプシー収容所”に、ナチスはヨーロッパ 11か国から集めた23000人の “ジプシー” を漸次移送しました。そして1944年8月2日から3日にかけての夜中、2897人のロマがガス室で殺され、まだ労働力として利用価値のあるロマ1408人がほかの強制収容所へ移転されました。ガス室で殺されたロマのほとんどは子どもと母親、そして高齢者でした。
8月2日は国際ロマ・メモリアルデー
アウシュビッツ・ビルケナウで起きたスィンティとロマの大量虐殺を記憶し、またヨーロッパ全土でホロコーストの犠牲になった50万人以上のロマを悼むため、毎年8月2日は国際ロマ・メモリアルデーとして追悼式が行われています。今年は新型コロナウィルスの影響で追悼式の規模が縮小され、オンラインで追悼式の模様が配信されました。
スィンティとロマの虐殺の歴史を学ぶ
ナチスによるスィンティとロマの迫害とホロコーストの悲劇を伝えるため、2001年よりポーランドのアウシュヴィッツ国立博物館でスィンティとロマの大量殺戮の記録が常設展示されています。IMADRではこの人道に反する残忍な犯罪の記録を紹介するため、常設展図録の日本語版『ナチス体制下におけるスィンティとロマの大量虐殺』を作成し、割引価格で販売しています。詳細はこちら
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