2024.07.26

国連人権アップデート 07/26/2024 No. 14

女性の平等を進めるためのカギ、人権経済(ヒューマンライツ・エコノミー)(7月 19 日)

 「世界の不平等と貧困は拡大しています。約 48 億人が、コロナウイルスの流行前よりも貧しくなっています」。人権経済と女性の人権に関するパネルで、ナダ・アル・ナシフ副高等弁務官は述べました。「どの社会においても、女性や女児、特に複数の差別や交差する形態の差別に直面している人々には、その傾向が強くなっています」。
 このパネルディスカッションは、ジュネーブで開催された人権理事会 56 会期(2024年6月 18 日~7月 12 日)で、1日をかけて行われた女性の人権に関する年次討議の一環として行われました。
 「現在、世界の女性の10 %以上が極度の貧困の連鎖に陥っており、このまま行けば、2030 年になっても3億 4200 万人もの女性(8%)が極度の貧困に依然として苦しんでいる」とアル・ナシフは述べました。
 国連人権高等弁務官事務所によると、世界で約 390 万人の女性が経済への参加に影響をおよぼす法の壁に阻まれていて、女性の賃金は男性に支払われる賃金1ドルに対してわずか 77 セントであり、世界92 カ国では同一価値労働同一賃金を義務付ける規定がありません。                                   「女性と女児はいまだに第一の介護者として考えられています。このことが、女児、若い女性、高齢の女性、障害のある女性を含む女性たちが、無償の介護やケア労働を不釣り合いな割合で担っている事実につながっています」とアル・ナシフは述べました。国際労働機関(ILO)のジェンダー平等・無差別上級専門家であるエマニュエラ・ポッツァンは、「無償の介護労働は非常に女性化されています。女性は無償の介護労働の 76.2 %を担っています: 1日あたり 160 億時間介護で働いていますが、これは男性の 介護労働時間の3.2 倍です」と述べました。

経済パラダイムを転換する時だ                                                                               アル・ナシフは、今こそ、国内にそして国をまたいで深く埋め込まれたジェンダーやその他の不平等に基づく無制限の経済成長という概念を再評価する時だと述べました。「私たちの経済は失敗している。気の遠くなるような不平等、特権階級のエリートが享受する信じられないような富、そして何百万もの人々が経験する深刻な貧困。これは人権の危機です。」ターク人権高等弁務官はビジョン声明でそう言及しました。「人権経済の実現に向けて、経済パラダイムとマクロ経済政策へのアプローチを転換する必要があります。人権経済とは、経済・社会・環境政策の中心に人間と地球を据えるものです。」アル・ナシフは続けました。人権経済は、差別を撤廃し、実質的な平等、持続可能な成長、繁栄の共有を促進するために、構造的な障壁やその他の障壁を意図的に解体することを目指しています。経済システムがジェンダーの平等と女性と女児の権利のために機能するには、各国において、また各国間で人権経済を実施することが不可欠です。

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Human rights economy, key to advancing women’s equality

中央アフリカ共和国の留置施設における人権侵害に対処する必要がある(7月 18 日)

 このたび発表された国連の報告書によると、拷問や虐待、違法かつ恣意的な逮捕・拘禁、栄養不良や劣悪な医療が蔓延している中央アフリカ共和国(CAR)の留置施設において、人権の尊重を確保するための緊急かつ具体的な行動が求められています。
 国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) と国連多次元統合安定化ミッション(MINUSCA)が作成したこの報告書によれば、現在、数千の人びとが同国内の過密な拘禁場所に拘束されており、食糧、水、衛生設備、基本的な医療へのアクセスは制限されています。
 「この調査結果は憂慮すべきものであり、国家当局の緊急かつ具体的な行動が必要です。」と国連人権高等弁務官のヴォルカー・タークは述べています。「現在進められている刑務所制度の改革は、中央アフリカ共和国にとって、こうした人権侵害に対処する重要な機会となります。」
 報告書は、2023 年の1年間を調査対象期間としており、警察が身体拘束の法的時間制限を遵守していないこと、公判前勾留に頼っていること、劣悪な勾留環境、司法制度が直面している課題など、さまざまな欠点を挙げています。

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Central African Republic: Urgent action required to address human rights violations in places of detention
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Analysis of deprivation of liberty in the Central African Republic: current situation, challenges, and responses

翻訳・抄訳:反差別国際運動(IMADR)

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