2025.01.14

国連人権アップデート 01/14/2025 No.23

■国連人権委員会(自由権規約委員会)、オーストラリア政府が庇護申請者に対する国外での恣意的拘禁について責任を負うと判断 (1月9日)

オーストラリア政府は、同国での難民申請者をナウル共和国(国外)に移送するという仕組みを作りましたが、国連人権委員会は、2025年1月9日、こうした仕組みによって移送が行われ、移送先のナウルの施設での人権侵害が問題となった2つのケースについて、オーストラリア政府が責任を負うと判断しました。この判断を紹介した記事は以下の通りです。

画期的な2つの判決において、国連人権委員会は、オーストラリアが難民申請者をナウル共和国の国外収容施設へ再送または移送したことについて、その恣意的な拘留に対する責任を負うべきであるとの判断を下した。委員会は本日、ナウルにある地域処理センターで長期にわたる恣意的な拘留を強いられた難民および難民申請者2件の案件に関する決定を発表した。オーストラリアは 2012年と 2013年にナウルと覚書を交わし、難民申請者を太平洋の島国に強制的に移送して処理することを認めていた。「締約国が難民申請の処理を他国に委託する場合でも、人権上の責任を免れることはできない」と委員会のメンバーであるマジュブ・エル・ハイバ氏は述べ、「国家が特定の地域に対して実効的な支配を行使している場合、その国家の国際法上の義務は確実に存在し、移転することはできない」と付け加えた。

記事全文はこちら:
Australia responsible for arbitrary detention of asylum seekers in offshore facilities, UN Human Rights Committee finds

委員会決定本文は以下をクリック
M.I. et al. v Australia
Nabhari v Australia

■ジンバブエの死刑廃止について人権高等弁務官がコメント (1月2日)

ジンバブエでは、2024 年 12月 31日、大統領が通常の状況下(非常事態宣言下以外の状況下)での死刑を廃止する法案に署名しました。これについて、フォルカー・テュルク国連人権高等弁務官が歓迎するコメントを発表しました。

ジンバブエ大統領が同国における死刑を正式に廃止する法律に署名したことを歓迎します。死刑は、人間の尊厳と基本的人権としての生存権とは両立し難い制度です。未だに死刑を存置しているすべての国は、ジンバブエの例に倣って死刑を廃止すべきであり、廃止までの間は死刑の執行を停止(モラトリウム)すべきです。ジンバブエ政府に対し、非常事態下においては死刑執行を認めるという同国の法規定を撤廃し、この称賛に値する道をさらに一歩進めるよう求めます。

コメント原文はこちら
Comment by UN High Commissioner for Human Rights Volker Türk on abolition of death penalty in Zimbabwe

■情報提供を求める!

国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) では、スポーツ界においてレイシズム、人種差別、ゼノフォビア等をなくすことを目的とした報告書の作成にあたって、各地での取組みや事例などについてインプットを募っています。締切は 2025 年2月 14日です。

詳細はこちら
Call for inputs: Report of the United Nations High Commissioner for Human Rights pursuant to Human Rights Council Resolution 54/25 “a World of Sport Free from Racism, Racial Discrimination, Xenophobia and Related Intolerance
https://www.ohchr.org/en/calls-for-input/2025/call-inputs-report-united-nations-high-commissioner-human-rights-pursuant

翻訳・抄訳: 反差別国際運動(IMADR)

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