2024.06.8

国連人権アップデート 06/08/2024 No. 11

国連ビジネスと人権作業部会 2023年訪日調査報告書が発表されました 

2023年夏に実施された国連ビジネスと人権作業部会の訪日調査に関して、最終報告書が人権理事会に提出されました。報告書に付されているサマリーは次のような内容になっています。

 「ビジネスと人権作業部会は、2023年7月24日から8月4日まで日本を訪問した。作業部会は、ビジネスと人権に関する国内行動計画の策定や「責任あるサプライチェーンにおける人権の尊重に関するガイドライン」の発行など、日本の重要な前進に勇気づけられた。しかしながら、バリューチェーン全体における人権デュー・ディリジェンスを理解し、実施するビジネス・コミュニティの能力に関しては、課題が残っている。作業部会はまた、根深く有害なジェンダー規範や社会規範への取り組みに見られる大きな困難について懸念を表明した。これは特に、女性、先住民族、部落民、障害者、移民労働者、LGBTQI+の人々などが経験する職場での差別やハラスメントに顕著であった。多様性と包摂を推進し、これらのリスクのあるグループの権利を守るための政府と企業の取り組みは、今後極めて重要である。」

日本訪問報告書(A/HRC/56/55/Add.1)全文はこちら (原文)
★★一部日本語訳(アイヌ民族、外国人、部落)こちら


■強制失踪の禍根がスリランカを悩ませる (5月21日)

「2009年から息子を探しています。私は今72歳で、あとどのくらい生きられるかは分かりません。もしかしたら、もう一度息子に会えるかもしれません。あるいは、埋葬されている場所を知ることができるかもしれません」とカマラ(仮名)は言います。

 カマラは、スリランカの武力紛争中に行方が分からなくなった何万人もの人々を探すために設立された市民団体「北東州強制失踪者親族協会」(Association for the Relatives of the Enforced Disappearances)の一員です。カマラは、息子を行方を追ってあちこちの避難民キャンプや集団墓地を探しまわり、他の強制失踪者の母親や妻たちとともに平和的なデモを行ってきました。彼女は、当局にこう問いかけます。そして、「私の子どもはどこにいるの?この運動を始めたとき、正義はあると強く期待をしていました。でも今、政府への信頼は失くしました」と言います。

 スリランカの内戦は15年前に終結したが、失踪者の家族はいまも真実と正義と賠償を待ち望んでいます。愛する人の安否や行方を知ることができない強制失踪者の問題は、スリランカ社会全体を悩ませていて、国民の和解への努力を損なっていると人権団体は口を揃えて言います。

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Legacy of enforced disappearances haunts Sri Lanka

香港 国連人権高等弁務官、中国国家安全法の適用に懸念(5月31日)

フォルカー・テュルク国連人権高等弁務官は金曜日、中国香港特別行政区における最近の国家安全法の下での判決に懸念を表明しました。

中国全国人民代表大会(全人代)が2020年7月に制定した「中華人民共和国香港特別行政区における国家安全保障に関する法律」に基づき、5月30日、14人が破壊行為の共謀で有罪となり、2人が無罪となりました。

「OHCHRも他の国連人権専門家も、この法律は国際人権法の下での中国の義務、特に市民的及び政治的権利に関する国際規約の下での香港に関する義務を遵守していないと繰り返し述べてきました。国連人権委員会が述べているように、この法律は廃止されるべきであり、廃止されるまでの間は適用されるべきではありません。」高等弁務官は言います。

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Hong Kong SAR: Türk deplores use of national security laws

【翻訳・抄訳:反差別国際運動(IMADR)】

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