IMADRジュネーブ事務所 小松泰介
9月8日から26日にわたって開催された国連人権理事会26会期における取り組みのうち、反差別国際運動(IMADR)ジュネーブ事務所が行なった口頭声明について紹介します。
口頭声明 *声明の日付と実際に発言した日付は進行の都合により異なる場合があります。
- 「スリランカにおける人権活動家に対する抑圧」について発言(9月16日)。スリランカ政府が国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)による紛争時の国際人道法および人権法侵害への調査への協力を拒んだ上に、政府がNGO活動の制限を強めていることを非難しました。また、過激派仏教徒による宗教的マイノリティへの攻撃をスリランカ政府が訴追しないことによって、国内の異なる宗教間の共生が脅かされていることにも言及し、これらの問題に取り組む人権活動家を保護するよう国際社会に求めました。
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- 「ネパールにおける先住民族と自然災害リスク軽減」について発言(9月17日)。自然災害によって特に被害を受けるのは先住民族にもかかわらず、ネパールの自然災害リスクマネジメント戦略といった政策に先住民族が含まれていないことに懸念を表し、先住民族の人びととの協議に基づいて自然災害リスク軽減において先住民族を認識し保護をするために必要な法的および行政処置をとることをネパール政府に求めました。
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- 「ネパールにおける先住民族の司法へのアクセス」について発言(9月17日)。ネパールの刑務所において受刑者の45%が先住民族であり、彼らは住民族でない受刑者に比べ拷問の被害に遭いやすいことを報告しました。また、先住民族の伝統文化の一部である牛の屠殺が国内法によって禁じられているために先住民族の人びとが処罰されていること、伝統的な司法システムが認知されていないこと、国内の司法システムにおいて先住民族出身の職員の割合が人口比に比べて低いことにも言及し、先住民族の人びととの協議に基づいて先住民族の司法へのアクセスを保障するために必要な法的および行政処置をとることをネパール政府に求めました。
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- 「平和への権利」について発言(9月22日)。平和への権利宣言草案の中で平等と反差別を明記した第2条を歓迎すると共に、草案を完成させるためのプロセスにおいてこの権利の意味が弱められるようなことになってはならないと発言しました。
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- 「スリランカへの国連人権高等弁務官事務所の調査と報復」について発言(9月25日)。スリランカ政府がOHCHRの国際調査への協力を拒んだことに懸念を示し、また政府大臣らがOHCHR調査団へ証拠を提供した人びとを拘束し法的に処罰すると発言していること、政府関係者による嫌がらせや脅しによって失踪者の家族の間で恐怖が蔓延していることを伝えました。また、人権理事会を含め、国連がOHCHR調査団に協力する目撃者や被害者、弁護士や人権活動家らへの最大限の保護の提供と、スリランカ政府にはこれらの人びとに対し報復をしないよう求めました。
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以下の二つの声明は、NGO発言時間の制限により発言できませんでしたが、ここに掲載します。
- 「オーストラリアとスリランカにおける恣意的拘禁」オーストリアでスリランカらのタミル人難民157人(うち子ども50人)が恣意的に拘禁されていること、スリランカでも150人以上の難民が恣意的に拘禁され、特に一人のパキスタン人の妊娠中の母親が拘禁中に劣悪な扱いを受け病院に搬送されたことを非難しています。また、スリランカではテロ防止法の下に北部および東部出身の多くの人びとが恣意的に拘禁され、家族にも居場所が知らされていないことを報告しています。両国が直ちに恣意的拘禁を止め、国際法の下の義務に従って庇護希望者を保護するように求めると共に、特にスリランカ政府が拘禁下での適正な手続きを保障するよう求めています。
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- 「スリランカにおける強制失踪と報復」スリランカでは失踪者の家族と彼らを支援する市民社会団体は政府関係者から嫌がらせや脅迫にあっています。今年8月4日には、過激派仏教徒によってスリランカ北部から集まった失踪者の家族の集会が暴力的に妨害されたにもかかわらず、警察は加害者に対して何の対応もとっていません。この事件以降、強制失踪の問題に取り組んでいる人権活動家は政府系メディアを含めた政府からの嫌がらせにあっています。国内の失踪者調査委員会の任期はラジャパクサ大統領によって延長され、新たに5名の国際専門家が任命されましたが彼らの職務は明らかでなく、また委員会の調査結果も公開の必要はないと政府の責任者が発言しました。失踪者の家族と人権活動家が報復や嫌がらせ、脅迫にさらされないことをスリランカ政府に求め、また国連の強制失踪に関する作業部会を公式に招待するよう求めています。
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* 口頭声明を発表中のIMADRジュネーブ事務所スタッフ