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マイノリティに属する人々のアイデンティティに対する権利― 国連特別報告者のレポート

 国連マイノリティ問題特別報告者(ニコラ・ルブラさん)は、「マイノリティに属する人々のアイデンティティに対する権利」に関して探求し、その報告を国連人権理事会58会期(2025年2月24日〜4月4日)に提出しました。日本語訳はこちらからご覧いただけます。

 報告書は、アイデンティティに対する権利はマイノリティ諸集団に直接帰属するのか、またはマイノリティ諸集団に属する人々にのみ帰属するのか――あるいはその両方なのかを探求するための方策として、民族的、宗教的および言語的マイノリティに属する者の権利に関する宣言の第1条の解題と検討を行なったものです。そして、アイデンティティおよびアイデンティティに対する権利が国際法でどのように言及されているかを探求しています。そのうえで、特別報告者は、マイノリティ・アイデンティティは、マイノリティ諸集団に属する人々がアイデンティティに対する具体的権利を集合的に行使することと、宣言第1条に掲げられた国家からの承認および保護から生ずるものだということを強調し、マイノリティ諸集団に属する人々のアイデンティティを全面的に尊重することにより、社会が多様性のなかで豊かに繁栄することを可能にしつつ、マイノリティ諸集団と支配的諸集団間の緊張を回避できると主張します。報告書の最後では、アイデンティティに関する権利を妨害する法律や行政的慣行は、「マイノリティ権利宣言」だけでなく、「世界人権宣言」や「市民的および政治的権利に関する国際規約」にも反するとし、公的文書での伝統的な名前の使用など国家によるマイノリティ・アイデンティティの承認の促進を求めています。

報告書は、主に以下から構成されています。

マイノリティ諸集団に属する人々のアイデンティティに対する権利
・はじめに
・マイノリティ集団が有する権利としてのアイデンティティに対する権利は存在するか?
・多層的アイデンティティを理解する
・国際法上のアイデンティティに対する権利
  ー ナショナル・アイデンティティに対する国家の権利
  ー 個人的アイデンティティに対する権利
  ー マイノリティ・アイデンティティの複雑な法的性質
結論および勧告

▶︎ 原文(英語)はこちら