反人種主義・差別撤廃世界会議(ダーバン会議)から今年で20年が経ちます。会議で採択された宣言と行動計画は十分に実施されたでしょうか?行動計画が目指した変化はもたらされたでしょうか?宣言はもう過去のものなのでしょうか?人種的不正義や不平等との闘いが世界各地で続くなか、テンダイ・アチウメ国連人種差別特別報告者は、宣言と行動計画には時を超えた適切性があると考え、この20年の経験を共有し、さらなる活用を奨める報告を国連に提出すべく、すべてのステークホルダーに情報提供を呼びかけました。それに呼応して、IMADR、IDSN、RAIK がそれぞれの闘いの経験に基づいて情報を提供しました。
IMADR: ジュネーブで人種差別撤廃委員会の審査を常に傍聴し、委員会と審査国のNGOの間の橋渡し役としてさまざまな調整の役割を果たしているIMADRは、宣言と行動計画の実施のためには人種差別撤廃条約の批准と実施が世界くまなく広がることが重要と考えています。そのため、条約の普及や実施状況を示すデータを収集・分析し、さらなる実施の必要性を強調する情報を提供しました。詳細はフェイスブックを。提出文書はこちらをクリック。
IMADRとIDSN: ダーバン会議は職業と世系に基づく差別をうけているダリットと部落民にとって、大きな挑戦の場となりました。”カーストおよび類似した形態の差別の禁止” は会議の最終文書に含まれるには至りませんでしたが、ダーバン会議をきっかけにダリット、部落民、人権NGOの国際連帯による闘いは大きく飛躍し、その後、人種差別撤廃委員会の「世系に基づく差別に関する一般的勧告29」の採択 (2002)、「職業と世系に基づく差別の効果的撤廃のための原則と指針案」の人権理事会提出 (2008) 、さまざまな特別報告者による調査と報告、OHCHRの「世系に基づく差別撤廃のためのガイダンスツール」の発行(2017) など、いくつもの成果につながりました。マイノリティのエンパワメントと国際連帯の実効性を示す情報を国際ダリット連帯ネットワーク(IDSN)と共同で提供しました。提出文書はこちらをクリック。
RAIK: 在日韓国人問題研究所(RAIK) がマイノリティ宣教センターと共同で提出したこの情報は、植民地主義が人種差別を根元から支えているとした宣言の力強い言葉が、在日コリアンの反差別の運動に大きな励ましになったと述べています。植民地支配を精算せず、普遍的権利の保持者である在日コリアンを戦後も一貫して無視し無作為を通してきた日本政府の責任は明らかであり、すでに4世、5世の時代になるコリアン社会の苦境は今も続いています。とりわけ、近年の在日コリアンを標的にしたヘイトスピーチの問題は根深い人種差別を示しています。そうした状況を政府の調査などのデータをもとに説明した情報を提出しました。提出文書はこちらをクリック。