プレスリリース
日本政府は普遍的定期審査(UPR)に従い人種差別撤廃の行動をとらなくてはならない
2017年11月20日
2017年11月14日、国連人権理事会は第3回目となる日本の普遍的定期審査(UPR)を実施した。審査では、日本政府による報告に対して106の国と地域が評価と勧告を行った。そのなかでも、今回とくに顕著であったのは、人種差別をはじめ、日本における様々な形態の差別の問題に関する勧告が多数行われたことだ。11月16日に採択された日本審査の報告書には、全部で218項目にわたる勧告が含まれており、その数は5年前の第2回審査の数より大きく上回っている。
人種差別撤廃を目ざす反差別国際運動(IMADR)は、オランダ、ボツワナ、ドイツ、など10ヵ国以上による包括的な差別禁止法の制定を求める勧告を歓迎する。そして、ロシア、グァテマラ、ウズベキスタンなど8カ国による人種差別に関する取り組みを促す勧告と、オーストラリア、マレーシアなど5カ国によるヘイトスピーチへの明確な対処を促す勧告を歓迎する。
日本では2016年にヘイトスピーチ解消法および部落差別解消推進法が制定・施行されたが、国際社会は日本には差別禁止法がないことに懸念を示し、包括的に取りくむよう強く促している。このことは、フィリピン、インド、フランス、チリを含む30カ国近い国が、差別や人権侵害の被害の救済を責務の一つとする独立した国内人権機関の設置あるいはその検討を促す勧告を行ったことにも示されている。国際社会は、人権の保護と促進のためには、包括的差別禁止法と独立した国内人権機関が不可欠なことを明白に認識している。
その他、今回の審査では、人種差別に対抗するための具体的措置に関する勧告が多数行なわれた。それらには「高校無償化」制度の差別なき適用、移住労働者権利条約の批准、技能実習制度における人権侵害の予防、アイヌ民族および琉球の人びとの権利保障、移住女性およびマイノリティ女性への暴力に関する適切な措置、「慰安婦」被害者への謝罪と賠償が含まれる。
反差別国際運動は世界の多数の国によるこれら勧告を日本政府が受け入れ、その実施に向けた措置を確実にとるよう求める。さらには、その実施において、マイノリティ・コミュニティをはじめとする市民社会との有意義な協力を確保することを要請する。
日本は国連人権理事会の人権理事国として立候補をし、最高水準の人権の促進と保護に努めることを宣言してきた。日本政府はUPR勧告に基づいた具体的かつ効果的な措置を実施し、今こそ国内の人権基準を向上させるという世界に向けた約束を果たさなければならない。
プレスリリースのPDF版のダウンロード(日本語 )