2017.11.24

11・22集会報告 日本政府はUPR勧告を受け入れて早急に実施すべし!

11月22日(水)午後4時30分より参議院議員会館にて「国連審査と日本のマイノリティの権利」と題する院内集会を人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)主催で開催しました。市民、メディア、国会議員から約120人の方々が集まるなか、UPR審査に関わってきたNGOの代表がそれぞれ報告を行いました。

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    「終了後の記者会見」

今回で3回目になる日本のUPR審査では、106ケ国の政府代表が質問を行い、218項目におよぶ勧告を日本政府に対して出しました。前回と比較してより高い関心が集まったのが、日本において人種差別禁止の法制度がないことでした。これはERDネットが最も懸念している問題であり、その実現こそが運動として目指すゴールの一つです。集会では、反差別国際運動ジュネ―ブ事務所の小松泰介さんが、審査で消極的な受け答えをした日本政府に対して市民社会から声をあげていく必要性について、沖縄から沖縄国際人権法研究会の真栄田若菜さんがUPR審査で国連に提起した沖縄における深刻な人権問題について、それぞれスカイプ中継でスクリーンを通して報告をしました。次いで、在日本朝鮮人人権協会の朴金優綺さんが「朝鮮学校の高校無償化からの排除」を中心に、マイノリティの子どもたちの学ぶ権利が著しく否定されている問題について、そして、民団人権擁護委員会から金昌浩弁護士が人種差別撤廃とヘイトスピーチ問題について、それぞれUPR審査に向けて提起した問題と、審査により出てきた多数の関連する勧告について報告をしました。

4人の報告者は全員がUPRの日本審査のプレセッションあるいは本審査に参加傍聴してきたことから、各国政府の反応および日本政府の対応について、臨場感のある報告を行いました。

次いで、UPR審査の勧告を受けて、「慰安婦」問題、部落差別、移住者および移住労働者の権利の視点より、それぞれ、女たちの戦争と平和資料館(wam)の渡辺美奈さん、部落解放同盟の和田献一さん、移住者と連帯する全国ネットワークの旗手明さんが、国際人権を尊重した日本政府による速やかな人権課題への対応を促すアピールを行いました。「慰安婦」問題では、日本政府代表がこの問題に関する政府の立場の説明に終始したことに懸念が表明されました。集会は元々、11月2日に自由権規約委員会が採択した日本の事前リスト・オブ・イシューについても言及する予定でしたが、集会時点で未公表であったために直接とりあげることはできませんでした。しかし、移住連の旗手さんから、「技能実習制度」における実習生の権利の保障に関して、2014年の自由権委員会日本審査で出されたフォローアップ勧告であり、今回のUPR審査でも懸念が表明され、勧告が行われた重要な問題であると指摘がありました。

まとめとして、外国人人権法連絡会の師岡康子弁護士より、UPR審査の勧告が明らかにしたように、日本は人種差別撤廃条約や自由権規約を含む国際人権条約を違反してきている。日本の人権政策が国際基準から随分かけ離れていることに国連に集まる各国政府および国際社会は懸念を示している。人種差別のない明るい社会をつくるため、日本政府にこれら勧告を受け入れて、実施に乗り出すよう求めていきましょうという呼びかけで、集会は終了しました。

当日配布した資料の一部はこちらから PDF(添付)

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