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連帯メッセージ:院内集会「ACT NOW、実現しよう!人種差別撤廃法」
国際人種差別撤廃デー院内集会「ACT NOW、実現しよう!人種差別撤廃法」(2025年3月19日、ERDネット主催)に寄せられた国内外からの連帯メッセージをご紹介します。
メッセージは、パトリック・ソーンベリーさん(元人種差別撤廃委員会委員)、村上正直さん(奈良大学教授)、クロード・カーンさん(国連人権高等弁務官事務所人権オフィサー)、反差別法制定をめざす移民の権利のための連合・韓国より、いただきました。

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1960年3月21日、南アフリカのシャープビルで、警官が「人種隔離法」に反対するデモ隊に発砲し、69人が殺害された。国連総会による「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国連宣言」(1963年)、そして2年後に同じテーマに関する国際条約が採択されたことを受け、1966年、国連総会は3月21日を「国際人種差別撤廃デー」にすると決議した。南アフリカのアパルトヘイトは歴史の1ページとなったが、国連は、IMADRを含む姉妹関係にある国際・国内のNGOとともに、人種差別撤廃に向けた取り組みを継続している。
条約は2025年に60周年を迎える。人種差別の理論と実践を弱体化させる取り組みが長年にわたり続けられてきたが、その一方で、社会の調和、友好、平和と安全への道を妨害する動きは今も続いており、時にはその勢いさえ増している。少なくとも、人種差別がもたらす惨事に打ち勝ち、人間の良き本性を解放するためには、関係する団体や組織が注意を怠らず、積極的な行動を続けることが必要である。人びとの尊厳と高潔を守るために努力を続ける日本の友人たちをほめ称えます。
パトリック・ソーンベリー
(元国連人種差別撤廃委員会委員、英国キール大学名誉教授)
人種差別撤廃条約の採択後60年が経過した。しかし、その意義はなお失われていない。世界から人種差別を根絶するという条約の目的が達成されているとは到底いえないからである。日本によるこの条約への加入後30年が経過した。その間、日本社会は、この条約からみて望ましい変化がいくつかあった。しかし、なお課題も多い。
では、日本にとっての課題は何か。私は、2005年の著書において、最優先で取り組まれるべきこととして、特に、包括的な人種差別禁止法の制定と、裁判官を含む関係公務員の教育・訓練をあげた。また、2021年の講演において、特に国レヴェルの包括的な差別禁止法の制定と、簡易迅速に救済を得ることができる国内人権機関の設置が必要であると述べた。残念なことに、人種差別禁止法も国内人権機関の設置も実現していない。
この集会が、人種差別撤廃条約の内容とその国内的実施の課題をより一層知る機会となることを期待する。
村上 正直
(奈良大学教授)
包括的な差別禁止法は、変革をもたらす可能性を秘めている。これらの法律は差別に対する理解を深めるものであり、差別を防止するための行動を促し、差別を撤廃するための意思を育み、最終的には前向きな変化を促すことになる。差別をうけてきた人びとは、それら扱いに対して声をあげ、被った被害の救済を確保する手段を得る。義務を負う者は責任を問われ、差別的な行為、政策、慣行を防止するための手続きを導入することで対応するようになる。このような変化は、周縁化されたグループの代表性と可視性を高め、行動の変化、ひいては社会規範の転換に貢献する可能性を秘めている。
国連事務総長はこう述べている:「人種主義、不寛容、差別はすべての社会で存在し続けている。人種や民族、年齢、性別、宗教、障害、性的指向や性自認などに基づく差別を禁止する包括的な法律の採択は待ったなしの状況である」。日本の市民社会は、日本で包括的な反差別法の枠組みが採択されるよう、献身的かつ積極的に取り組んできた。人権高等弁務官事務所は、世界中で包括的な反差別法を求める運動を支援することを中核的な目標としている。現在、世界46カ国でこのような法律が制定されている。私たちは、日本が近い将来、その47番目の国になることを強く望んでいる。
クロード・カーン
(国連人権高等弁務官事務所人権オフィサー)
3月21日の国際人種差別撤廃デーを迎え、韓国の移民人権団体から人種差別撤廃と平等のために闘う日本の友人たちに連帯のメッセージを送ります。
人種差別は私たちのそれぞれの国において執拗に続く問題で、常に移民とマイノリティを社会から排除しようとしています。 私たちは人種、民族、出身国などを理由に特定のコミュニティを排除する政策と言説を断固として拒否し、差別に直面している人びとと共に立ちます。
韓国では最近の政治的混乱のなか、特定の国の出身者が不当にも嫌悪や差別の対象にされています。これは人種差別が決して単独の問題ではなく、国家権力、ナショナリズム、社会経済的不平等と深く結びついている構造的問題であることをあらためて想起させます。
私たちは日本の市民社会のたゆまぬ人種差別撤廃のための努力を支持し、すべての人が平等に尊厳をもって扱われる社会を作るために連帯します。
すぐそこまで来ている暖かい春の風が海を越え、私たちの連帯の精神を皆さまの元に届けてくれ、共に闘うことにより、差別とヘイトを越えた世界へと花咲かせてくれることを願います。
反差別法制定をめざす移民の権利のための連合・韓国