2021.04.13

国際人種差別撤廃デー記念集会を開催(3/17)

国際人種差別撤廃デーを記念して、3月17日に「パンデミックの今 あらためて考える人種差別の根絶」と題した院内集会をオンラインで開催しました。国会議員9人を含む120人が参加しました。

村上正直さん

集会では最初に、大阪大学大学院国際公共政策研究科教授の村上正直さんが、日本の人種差別撤廃条約加入以降に国内で見られた変化について、特に「私人間の差別の禁止」と「ヘイトスピーチの規制」という二つの観点から概説し、これらの領域において「差別の禁止」という規範が以前に比べて増してきていると解説しました。その上で包括的な差別禁止法がないことで、私人間による差別が起きても被害者は訴訟をしない限り救済を得ることができず、泣き寝入りになる事例が多いことを指摘。改めて包括的差別禁止法と簡易で迅速な紛争解決制度の必要性を訴えました。ヘイトスピーチの規制については一部自治体が先行した取り組みを行っていることを評価し、自治体における対応措置を積み上げて、国レベルの規制を求めていくことが必要だと述べました。

●現場からの報告

その後、現場で活動されている4人の方が報告をしてくれました。以下が概要です。

松村元樹さん(ヒューリアみえ):コロナ禍において、インターネット上での部落差別投稿が2020年には前年の2倍以上に増加している一方で、コロナ禍でデジタル化が進んだにもかかわらず同和地区においてはパソコンの普及率もネット利用率も全国平均を大きく下回り、機能的非識字の問題が深刻化している。

朴金優綺さん(在日本朝鮮人人権協会):コロナ禍での朝鮮学校差別について報告。さいたま市がマスク配布対象から朝鮮学校幼稚園を除外し、文部科学省が「学生支援緊急給付金」制度の対象から朝鮮大学校の学生を除外した。「命の差別」をやめること。最後に埼玉朝鮮初中級学校幼稚園園長の言葉「(マスク)一箱が欲しいのではない。子どもの命を平等に扱ってほしい」という言葉を紹介。

安藤真起子さん(NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)):コロナ禍の影響で多くの難民・移民の生活が困窮したにも関わらず、生活困窮自立支援制度や緊急経済施策から非正規滞在者や留学生、朝鮮大学校などが排除された。また、「移民難民緊急支援基金」に集まった寄付5000万4円を1645人の必要としている人に一律3万円を支給して支援した。

上村英明さん(市民外交センター):アイヌ民族を初めて「先住民族」と明記する「アイヌ施策推進法」が2019年に制定され、さまざまな施策が始まったことを歓迎するが、法律には先住民族としての権利は何も保障されていないことを指摘したい。先住民族権利宣言が規定している漁業の権利や土地の権利、琉球民族にも共通する遺骨の権利などを認めることが重要だ。

連帯メッセージとこれから

集会には人種差別撤廃条約国内実施モニタリングのための韓国NGO連合のリ・ワンさんが参加し、韓国で15年以上続けられている差別禁止法制定運動について紹介し、連帯のメッセージを送ってくれました

最後に外国人人権法連絡会の師岡康子弁護士が「日本に人種差別はない」という言説に対し、朝鮮奨学会による調査結果を紹介し、歴史的に旧植民地出身者に対する差別が存在してきたこと、それが移民・難民政策にも引き継がれ、外国籍者に人権を認めない政策がとられていることを指摘しました。そして国に対し、人種差別撤廃条約上の義務を履行し、差別政策の見直しと包括的差別禁止法の制定を求めて集会を締めくくりました。

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