2023.08.16

IMADR学習会「インド ダリットの若者」開催報告

7月27日に、IMADR学習会「インド ダリットの若者 -ISSYO支援を通してみる子どもたちの教育環境-」を開催いたしました。講師である白根大輔さんが代表を務めるISSYOの活動を中心として、インドのカースト差別についてや、ダリットの子どもたちがどのような状況に置かれているか、報告をしていただきました。

元々、IMADRで勤務していた白根さんは、IMADRの活動でダリットの人権活動をしている方々と出会い、インドで未だに続いている問題をどのように解決していけるかという思いから、ISSYOを始められました。
特に、ダリットや先住民族などインドで最貧困層に置かれている子どもたち、女性たちは、今もカースト差別が続くインドの中で最も被害を受けていると説明。カーストにより、職業が生まれたときに決まっているため人生の選択肢が狭まっていること、仕事や教育の機会が離れることが多いことに加え、児童結婚や児童労働の問題なども指摘されました。

インドでは公立学校は10年間無償で、給食の提供もあるものの、建物はなく外で授業を行う場所も多いことや、現地の言語での教育が行われるため、仕事をするために必要な英語力がなかなか身につかないなど、質が悪いため、結局お金がある上級階層の子どもたちは施設・教育が充実している私立学校に通い、公立学校には、ダリットをはじめとして最貧困層の子どもたちしか残っていないという現状。

そういった状況の中で、脆弱な立場に置かれた女性、子どもたちの自立を支援するため、ISSYOでは、インドのタミール・ナドゥ州の農村地域において、
・里親奨学金…奨学金を通して私立学校で教育を受ける
・RIDERホステル…家庭に問題を抱えている子どもたちへの生活支援。英語と数学の補習授業。
・健康診断や人権ワークショップ、支援物資配給
・ニーズアセスメント…一人ひとりの状況を見ながら、その時必要な支援
上記に関する支援を行っており、今年は4月に大学を卒業した子どもが2名出るなど、少しずつ子どもたちが自らの道を選び歩んでいくための支援をしていると報告を受けました。

報告後は質疑応答があり、参加者からは
里子たちの進路に対しての支援をどのようにしているのか、
卒業後の子どもたちとの関わりあい方などに関して質問がありました。

ISSYOでは、小さいうちから将来何になりたいか子どもたち、その保護者と話す機会を設け、将来のどんな進路が可能かなのか、なりたい未来に向けて現地スタッフも一緒になってサポートを行っている。家族が許してくれないからと将来の夢を語らない子どもも多かったが、人権ワークショップをしていく中で、自分の答えは自分で見出す意識を徐々に持っていき、自分の夢が叶うまで結婚しないと家族の前で言い切った子どもも出てきたとのこと。
卒業後も何らかの形で繋がりが続けられるように、子どもたちに話をしてもらったり、大人になって収入を得られるようになったら寄付をしてもらうなど循環する関係をつくっていきたいと白根さんから回答をいただきました。

Archive