2024.10.24

人権理事会57会期(9/9-10/11)IMADRレポート

国連人権理事会57会期(2024年9月9日開会)は、37本の決議と1本の議長声明を採択し、10月11日に閉会しました。IMADRの活動内容とかかわりのあるものを中心に、決議の一部をご紹介します。

♦︎ スリランカにおける和解、説明責任、人権の促進に関して、1)人権高等弁務官事務所のマンデートを延長すること、2)58会期には理事会に口頭で最新情報を、60会期にはスリランカにおける和解、説明責任および人権の進展に関する包括的報告書を提出すること、3)双方向の対話を開催することを求める決議案が採択された。

♦︎ 人権教育のための世界プログラム:第5段階行動計画に関して、2025年から2029年にかけて計画を進め、63会期で「人権教育および人権研修に関する国連宣言」の15周年を記念するハイレベル・パネルディスカッションの開催を求める決議案が採択された。第5段階では、引き続き若者に焦点を当てつつ、子どもたちも含めるよう拡大し、特に人権とデジタル技術、環境と気候変動、ジェンダー平等に重点を置く。

♦︎ 安全な飲料水と衛生への権利に関して、59会期でパネルディスカッションをハイブリッド方式で開催することを求める決議案が採択された。

♦︎ 移住者の権利に関して、高等弁務官事務所に対し、1)各国およびその他の関連するステークホルダーと協議のうえ、国境を含む移住の文脈における人権状況のモニタリングに関する調査をし、60会期までに提出すること、2)移住者と移住に関する非人間的で悪質な言説やヘイトスピーチ、外国人嫌悪、関連する不寛容の形態を防止し、対抗し、対応するための措置に関して、会期と会期の間に全日パネルディスカッションを開催すること、3)移民とその家族の有意義な参加を確保すること、4)パネル討論とその結果に関する要約報告書を作成し、人権理事会60会期と総会80会期に提出すること、5)この問題を引き続き把握することを求めた決議案が採択された。

♦︎ 先住民族の権利に関して、1)60会期中に開催される先住民族の権利に関する年次パネルディスカッションのテーマを、「重要鉱物との関連も含めた持続可能なエネルギーシステムへの公正な移行における先住民族の権利」とすること、2)総会に対し、80会期中に、「先住民族の権利に関する国連宣言」20周年を記念するハイレベル本会議を開催し、先住民族に関する世界会議の成果文書の実施の評価を検討することを求めた決議案が採択された。

♦︎ 政治的・公的分野への平等な参画に関して、すべての国に対し、すべての女性の政治参加を強化し、政治的・公的分野に参加する女性に対する暴力に対処することを求める決議案を採択した。

♦︎ 開発への権利に関して、1)人権高等弁務官事務所に対し、開発の権利の実現に直接関連する国連システム内の機関間調整を含め、高等弁務官事務所の活動に関する年次報告書を引き続き理事会に提出すること、2)特別報告者および専門家メカニズムのメンバーに対し、2030アジェンダの実施に関連する国際的な対話および政策フォーラムへ参加すること、3)高等弁務官事務所に対し、開発への権利に関する隔年パネルディスカッションを開催し、同ディスカッションに関する報告書を66会期理事会に提出することを求めた決議案が採択された。

♦︎ 若者と人権に関して、1)60会期に開催される隔年パネルディスカッションのテーマを「平和な社会を育み、すべての人が人権を享有できる環境づくりを行う上での若者の役割」にし、若者および若者主導の団体との協議に基づき開催すること、2)高等弁務官事務所に対し、各国および関連するステークホルダーと協議のうえ、メンタルヘルスの課題が若年層の人権享有に及ぼす影響に関する詳細な研究を実施し、63会期前に結果を提出することを求めた決議案が採択された。

♦︎ 気候変動における人権の促進と保護に関する特別報告者のマンデートに関して、特別報告者のマンデートを3年間延長することを求めた決議案が採択された。

♦︎ 人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容を防ぐツールとしての教育に関して、特に各国に対し、正規・非正規を問わず、あらゆるレベルの教育において、人種、皮膚の色、世系、民族的または種族的出身に基づく差別を禁止し、対抗する法律、政策、プログラムの制定と実施を強く求めた決議案が採択された。

♦︎  レトリックからリアリティへ:人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連する不寛容に対する具体的な行動への世界的な呼びかけに関して、人種差別撤廃条約の補完的基準の策定に関するアドホック委員会の議長兼報告者が、同委員会の年次会期を2025年と2026年の2回に分割し、1週間ずつ行うことを求めた決議案が採択された。

このほか、人権分野におけるイエメンへの技術支援とキャパシティ・ビルディングに関する決議案なども採択されました。

詳しいサマリー全文(英語)はこちら

翻訳・抄訳: 反差別国際運動(IMADR)

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