2020.06.5

ジョージ・フロイドさんの殺害と人種差別に抗議します

 5月25日、アメリカでふたたび警察官により黒人が殺害されました。被害者のジョージ・フロイドさんは路上で突然警察官に捕らえられ、わずか10分ほどの間に命を奪われました。反差別国際運動はこの暴挙に抗議をするとともに、アメリカ社会に横たわる人種差別の撤廃に向けた合衆国政府の取り組みを促す声明をだしました。声明は以下の通りです。PDFはこちら 日本語声明、英語声明。

白人の警察官によるジョージ・フロイドさんの殺害と人種差別に抗議します

2020年5月25日朝、米中西部ミネソタ州ミネアポリス市の路上で黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に殺されました。目撃情報によればフロイドさんは警察官によって8分46秒もの間、地面に倒されたまま首を押さえつけられ、窒息死させられました。そのあいだ、フロイドさんは3分間にわたり「息ができない」と救いを求めつづけました。

私たち反差別国際運動は、警察官による黒人男性の殺害に強く抗議します。これまでアメリカ合衆国では、ジョージ・フロイドさん殺害の事件のみならず、警察官による人種的偏見と差別に基づいたアフリカ系住民に対する暴行と殺害、そして加害者の不処罰が繰り返されてきました。その多くは、今回の事件が示しているように、人種プロファイリングによる法執行官の過った行動がきっかけとなっています。私たちはアメリカ社会において今も人種差別、とりわけ黒人に対する差別が根強く存在し、今回の事件のような悲劇を招いていることに深く憂慮します。

2014年、国連人種差別撤廃委員会はアメリカ合衆国の定期審査において、マイノリティに対する法執行官による過剰な力の行使への懸念を表明し、この人権侵害に対する徹底的な調査、加害者の訴追と適切な処罰、被害者家族への十分な賠償を保証するよう勧告しました[1]。私たちは、6年前のこの勧告が満足に実施されないまま、再び今回の事件が起きたことを憂慮します。また、同委員会は法執行官による人種プロファイリングを根絶するようアメリカ合衆国に勧告しています。

人種プロファイリングは差別を助長する大きな要因です。アメリカにおいて、その標的はアフリカ系住民に限られるものではなく、その他のマイノリティ、先住民族、移民にも向けられます。私たちは人種プロファイリングに強く反対し、このような悪しき慣行を禁止し、法執行官や公務員に対する効果的な人権トレーニングが行われるようアメリカ合衆国に要請します。

反差別国際運動は世界の被差別マイノリティコミュニティとつながりながら、人種差別をなくすために30年以上にわたり活動をしてきました。それらマイノリティコミュニティの多くは、今回のフロイドさん事件に象徴されるような公権力の濫用と人権侵害がもたらすさまざまな被害に苦しんできました。私たちは、世界人権宣言が明らかにしているように、すべての人が差別なく尊厳をもって生きることができる社会の実現を求めます。そのために、アメリカ合衆国政府をはじめ、世界の国の政府が努力を怠らないことを促します。

2020年6月5日                  反差別国際運動(IMADR)


[1] CERD/C/USA/CO/7-9, https://tbinternet.ohchr.org/_layouts/15/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CERD%2fC%2fUSA%2fCO%2f7-9&Lang=en

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