2020.11.24

女性に対する暴力撤廃の国際デー(11/25)

11月25日は女性に対する暴力撤廃の国際デーです。国連は毎年この日から12月10日までをジェンダーに基づく暴力と闘う16日間と定め、暴力撤廃につながるさまざまな行動を呼びかけています。

女性と女児に対する暴力(VAWG)は、今日の世界で最も広範にはびこる深刻な人権侵害の一つであり、それを取り巻く不処罰、沈黙、スティグマなどが実態を見えなくさせています。さらに2020年は、コロナ・パンデミックの影響で失業、経済的不安、食糧不足、学校閉鎖、市民の不安が増大した結果、女性と女児に対する様ざまな形態の暴力が急増しました。特に家庭内で過ごす時間が増えたり、経済的な不安を背景に女性と女児に対する身体的、心理的、性的、経済的な形態のドメスティック・バイオレンスが増加したと報告されています。

女性、女児に対する暴力に含まれるもの

●親密なパートナーからの暴力 (虐待、心理的虐待、夫婦間のレイプ、 ジェンダーに基づく殺人など)

●性暴力とハラスメント(レイプ、性行為の強要、児童に対する性的虐待、 強制結婚、ストーカー行為、ネット上のハラスメントなど)

●人身売買(奴隷制、性的搾取)

●幼児婚

●女性器切除

数字が示す、女性への暴力の深刻さ

●世界の女性/女児のうち、約7億5千万人が18歳の誕生日を迎える前に結婚しており、2億人の女性/女児が女性器切除(FGM)を受けてる

●2017年に世界で殺された女性の2人に1人がパートナーや家族に殺された。一方同じような状況で殺害された男性は20人に1人しかいない

●世界の人身売買被害者の71%は女性・女児であり、4人に3人が性的搾取を受けている

ここまでの情報元:UN Women 女性に対する暴力撤廃の国際デー (英語)  

ジェンダーに基づく暴力と複合差別

ジェンダー差別に加え、人種、民族、出身、宗教などに基づく差別は複合差別に発展し、それらコミュニティに属する女性たちを暴力に対して脆弱にさせてきました。それら女性たちに暴力や非人道的な行為を働いても許されるという考え方は今も社会に根強く残っています。IMADRが関わる南アジアのダリット女性たちは、この複合差別のなかで醸成された暴力に支配されています。

カーストとジェンダーに基づく暴力:2006年からの10年間で、ダリットに対する犯罪は約7.5倍増加し、中でもダリット女性に対するレイプと殺人がその大きな割合を占めています。多くの場合、加害者による被害者への脅迫や妨害が司法の救済手続きを弱体化させたり無効にさせています。

<ウッタル・プラデシ州で起きた事件>2020年9月、インド、ウッタル・プラデシ州のハトラスで、19歳のダリットの女性が、支配カーストの数人の男性によってレイプされ、舌を切られ、背骨を折られたうえ、放置されたまま亡くなりました。「最後に娘の顔を見たい」という家族の懇願を無視し、警察は証拠隠滅のために家族に面会させることなく遺体を火葬してしまいました。<詳細はこちら

インドのデバダシ制:幼い女子が本人の同意のないままヒンドゥー寺院に捧げられ、村の男たちにセックスの提供を強要される制度です。デバダシになった女子は一生結婚を許されず、周囲から孤立させられ、スティグマのなかで生きていかなくてはなりません。インドのデバダシの 93%がダリット、7%が指定部族(先住民族)出身者であることから、デバダシの制度は宗教儀式という名のもとでの制度化された複合差別の慣行となっています。1988年に法律によって禁止されたにもかかわらず、この慣行は今も根強く残っており、例えばインド南部のテランガーナ州だけでも現在およそ3万人のデバダシがいると言われています。    

<ポシャニさんのストーリー>インド南部のテランガーナ州ベルプール村に住むポシャニさんは、5歳の時にデバダシとしてヒンドゥー寺院に捧げられました。数年たつと、村の支配カーストの男たちからセックスを強要されるようになり、デバダシとして性暴力と差別のなか、30年間を寺で過ごしました。デバダシでなくなった今、帰る家はなく、貧困と屈辱に苦しみながら生きています。(Inter Press Service 参照)

私たちを毎日のようにレイプし、殺害する彼らを止めなくてはならない。

私たちの人権を警察に認めさせなくてはならない。

私は虐待され、殺された人びとのために闘う。

そしていつか私にその番がやって来たら、

誰かが私のために闘ってくれることを望む。

− マニシャ(インドのダリット女性運動リーダー)

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