2020年、国連人種差別撤廃委員会(CERD)は「法執行官によるレイシャル・プロファイリングの防止およびこれとの闘いに関する一般的勧告36号」を採択しました。IMADRではこの勧告を日本語に訳しました。さて、レイシャル・プロファイリングとはどのようなことを指すのでしょう?以下、勧告で示されている定義をご紹介します。
レイシャル・プロファイリングとは?
◆CERDの定義(文中15ページ 16):いかなる程度であれ、人種、皮膚の色、世系または国もしくは民族的出身を基に、個人を捜査活動の対象とする、または個人が犯罪行動に関わったかどうかを判断する警察および法執行の慣行のことである。このような文脈において、人種差別は、宗教、性別もしくはジェンダー、性的指向およびジェンダー・アイデンティティ、障害、年齢、移住者としての地位ならびに職業またはその他の地位といったその他の事由と交差して生じることが多い。
◆ダーバン宣言での定義(文中15ページ 18):警察官その他の法執行官が、程度の差を問わず、人々を捜査活動の対象とすることまたはある個人が犯罪活動に関与しているか否かを判断することの根拠として、人種、皮膚の色、世系または国もしくは民族的出身に依拠する慣行のこと。
レイシャル・プロファイリングはどのような時に行われるのか?
◆(文中15ページ 19)法執行官によるレイシャル・プロファイリングには、強制捜査、国境・税関検査、家宅捜索、監視対象化、法と秩序を維持しもしくは再建するための摘発活動、または出入国管理に関わる決定も含まれる場合がある。これらの行為は、警察の巡回および対テロ摘発活動の文脈において、さまざまな形で行なわれる可能性がある.
レイシャル・プロファイリングは古くから行われてきました。インターネットおよびデジタル技術が加速的に発達する今、バーチャルの世界におけるレイシャル・プロファイリングの問題が懸念されます。ネット上でのヘイトスピーチ、そしてアルゴリズムによるデータの蓄積は、いとも簡単にレイシャル・プロファイリングの増殖を許してしまうと懸念されています。CERD一般的勧告36に示されている懸念と勧告をぜひ読んでみてください。
原文はこちらから→ CERD GC36 日本語訳はこちらから→CERD GC36 JP