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人種差別撤廃委員会117会期終わる

©️ UN Web TV)
4月13日から始まった人種差別撤廃委員会(CERD)117会期は、5月1日に終了しました。今会期について、国連が発表した報告をもとに、以下、概要を報告します。
◼️ 今会期では、ブルキナファソ、キューバ、キプロス、セルビア、スロベニア、ウズベキスタンの政府報告書が審査され、最終日にその総括所見が採択されました。その内容は、記事の後半に記載しています。
◼️ トンガの事前リストオブイッシュが採択されました。
◼️ アルバニア、アルゼンチン、ブラジル、イタリア、カタール、トルクメニスタンのフォローアップ報告書が審査されました。
◼️ 早期警戒・緊急行動手続きのもと、イスラエルにおけるテロリスト死刑法案の可決に関する声明、オーストラリアの先住民族の子どもたちが構造的差別により、不当な逮捕や収監をうけ、刑事司法の対象となっている割合が過度に高いことに関する声明、ニューカレドニア非自治地域の先住民族の政治参加の権利の侵害に関する声明 を出しました。
◼️ 大西洋奴隷貿易による歴史的不正義への賠償に関する 一般的勧告 40 の草案 に関する議論が継続されました。
◼️ 一般的勧告40の採択後は、職業と世系に基づく差別、先住民族、スポーツにおけるレイシズムに関する一般的勧告の準備を始めることで合意しました。
◼️ 今年は、ダーバン宣言と行動計画 から25年です。
◼️ 次回の会期日程は8月10日から25日(審査対象国:フィンランド、ホンジュラス、インド、クウェート)を予定していますが、確定ではありません。
117会期で採択された総括所見の概要
ブルキナファソ
委員会は、軍事・治安作戦中にフラニ族に対する超法規的処刑、拷問、恣意的拘束、誘拐、強制失踪、財産の破壊などの重大な人権侵害に深い懸念を表した。こうした人権侵害は軍隊、準軍事、非国家武装勢力によるとされている。また、治安当局によるフラニ族に対する民族的プロファイリングが続いている。ブルキナファソに対し、迅速で効果的かつ公平な調査を行い、加害者を訴追・処罰するとともに、民族的プロファイリングを法律で明確に禁止するよう求めた。
委員会は、措置が講じられているものの、かつて奴隷とされた特定の民族集団に対する世系に基づく差別が現在も広く存在し、烙印、隔離、社会的排除が権利の享有を妨げていることを懸念し、こうした差別の構造的で制度的な原因に対処し、差別、烙印、隔離を禁止するよう求めた。
キューバ
委員会は、立法、制度、政策上の措置に留意しつつ、アフリカ系の人びとが貧困や周縁化、刑務所収監率の高さ、権利享有の不平等に直面し続けていることを懸念した。キューバに対し、構造的差別に対処し、生活環境を改善し、人権の享有を確保するために、国・州・市レベルで、積極的差別是正措置を講じるよう求めた。また、アフリカ系の人びとやその団体が政策の策定に参加でき、市民社会アクターが脅迫や報復を受けることなく安全に活動できる開かれた市民空間を確保するよう勧告した。
キプロス
委員会は、キプロスが、民族的マイノリティの保護のための枠組条約、地方言語・少数言語のための欧州憲章、キプロス憲法のもと、人種差別に対処していることに留意した。しかし、これらを統合する差別禁止法がないため、人種差別への対応に空白が生じうることを懸念し、キプロスに対し包括的反差別法の採択を求めた。
委員会は、公用語の一つであるトルコ語の教育や使用の拡大に向けた措置に留意する一方、特定の職業に求められる言語要件が、実際にはトルコ語話者に差別的な効果をもたらしかねないことを懸念した。行政や教育におけるトルコ語の使用が依然として限定的であり、一部の地域ではトルコ語教育の機会が不十分である。キプロスに対し、差別的な言語上の障壁を取り除き、行政や教育においてトルコ語を効果的に使用するよう求めた。
セルビア
委員会は、被害者の法執行機関に対する信頼の欠如により、人種差別、ヘイトクライム、ヘイトスピーチの事件が十分通報されていないことを懸念した。また、人種主義的なヘイトスピーチや民族的マイノリティに対する否定的なステレオタイプが、メディア、インターネット、SNSで広がり続けていることに留意した。セルビアに対し、人種差別、ヘイトクライム、ヘイトスピーチと闘うために、法律や制度を効果的に機能させること、人種主義的なヘイトスピーチを公然と非難すること、政治家によるヘイトスピーチから距離を置くこと、人種差別の被害を受けやすい人びとが安全かつ利用しやすい通報手段を確保することを求めた。
スロベニア
委員会は、公共安全のための緊急措置法(2025年)が、ロマのコミュニティに及ぼす差別的影響、特に警察権限の拡大や「要監視地域」の指定により取り締まりが過度になることを懸念し、スロベニアに対し、平等と無差別の原則に沿うように同法を再検討し、民族的プロファイリングや過度な取り締まりを防ぐための安全策を整備するとともに、最低限度の生活水準を維持するために社会扶助給付金減額の規定を撤廃または改定することを勧告した。
委員会は、ロマのための国家行動計画(2021〜2030年)における進展を評価しつつ、ロマが依然として貧困や劣悪な住環境によって健康格差に苦しみ、平均寿命が低いことを懸念した。スロベニアに対し、健康格差の根本原因に対処し、良質な医療への平等なアクセスを確保するよう勧告し、住環境の改善、平等な教育機会、職業訓練の提供などの措置を求めた。
ウズベキスタン
委員会は、開発プロジェクトが、特にリューリ/ロマなどの少数民族に対する強制退去をもたらしているとの報告に懸念を表明した。また、そうした影響を受けている人びとに対する補償が不十分または存在しないことや、司法・行政上の救済へのアクセスが依然として制限されていることにも深く懸念した。ウズベキスタンに対し、強制退去や住宅の取り壊しを停止するよう求めた。また、強制退去や取り壊しが回避できない場合には、影響を受ける家族や個人に対して十分な代替住居と補償を提供し、実行的な救済へのアクセスを確保するよう求めた。