人種差別撤廃委員会(CERD) は2018年8月の日本審査総括所見で、国内人権機関の設置と技能実習制度に関する勧告については、フォローアップ勧告として1年以内に実施経過状況を報告するよう求めていました。それに基づく日本政府のフォローアップ情報が、2020年8月のCERD第101会期において審査され、政府に宛てた結果の書簡がこの度 CERD のウェブサイトで公表されました。
■満足できるものではない国内人権機関設置に向けた措置 国内人権機関に関しては、委員会の勧告に基づいて適切な措置がとられていないことは残念であり、日本政府の回答は満足できるものではないと述べています。
■一部は満足できるが課題が多い技能実習制度 技能実習制度に関しては、2017年の「技能実習法」があるにもかかわらず、実地調査が充分行われていないこと、さらには、外国人技能実習生が劣悪な労働条件のもと、搾取や虐待の危険にさらされているという他からの情報があるにもかかわらず、政府からはその実施状況や影響について何も情報がないことへの懸念が示されています。そのうえで、技能実習制度のさらなる改革やしっかりした監督の必要性を指摘し、次回の定期報告にはそのためにとった措置について詳しい情報を提供するよう勧告しています。
CERDが日本政府にあてた書簡の翻訳はこちらからご覧いただけます。
人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)は、NGOとしてCERDにフォローアップ情報を提出しました。とりわけ、技能実習制度について移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)が作成したレポートは、政府の報告からは見えてこない現場の実態を適切に示したものであり、CERDのフォローアップ審査において重要な参考情報になったと思われます。
ERDネットが提出したフォローアップ情報はこちらからご覧いただけます。
日本政府のフォローアップ情報はこちらから。