10月17日、女性差別撤廃委員会(CEDAW)による第9回日本政府報告の審査が終わりました。CEDAW委員約20人、日本政府代表約20人、さらに傍聴をした日本のNGO参加者約100人が一堂に会するなか、5時間にわたる委員会と政府との建設的対話が行われました。CEDAWが即日で出した審査の速報の要約をお知らせします。IMADRはUN WebTVで中継された審査の模様を、X を通して断片的にポストしました。一番下にその一部を紹介します。
CEDAW日本審査の速報 (IMADR 抄訳)
女性差別撤廃委員会は本日、日本の第9回定期報告を審議した。委員会は、不同意性交を犯罪とする強姦に関する刑法改正を称賛する一方、公的機関および民間機関における女性の代表について、そして夫婦同姓の制度について疑問を呈した。
日本審査の報告者であるバンダナ・ラナ委員は、強姦を「不同意性交等罪」として再定義し、同意年齢を16歳に引きあげたことを評価した。しかし、政府における女性の代表の低さや、女性の地位向上を妨げている根深いジェンダーステレオタイプなどにより、日本はジェンダー平等の点において世界125位に位置すると指摘し、政府はこれらの問題に取り組む必要があると述べた。
複数の委員たちが公的機関および民間機関における女性の代表について懸念を表明した。別の委員は、政府における女性の代表の数が最近減少してきていること、また、企業の最高経営責任者(CEO)に占める女性の割合は0.8 %であり、上級外交官では7.1%に留まっていることを指摘した。
別の委員は、日本における現行の「夫婦同姓制度」のもと、94.7 %の女性が夫の姓を名乗っていると指摘した。これは、女性のアイデンティティや雇用に負の影響をもたらす。選択的夫婦別姓を認める法改正の見通しはどうなっているのかと尋ねた。
政府報告書の紹介として、政府代表団団長であり内閣府男女共同参画局局長の岡田恵子氏は、2023年の刑法改正により、婚姻の有無にかかわらず、同意のない性行為は犯罪を構成することが明確化され、性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられたと述べた。また、子どもに対するものも含む性的暴力に対処する複数の法律も制定されたと述べた。そして、政府は、衆・参両院の議員立候補者に占める女性の割合を2025年までに35%に引きあげることを目指していると述べた。雇用・労働女性活躍推進法により、国や地方自治体は女性職員を増やすための目標値を設定し、女性の参画に関する情報を公開することが義務づけられていると述べた。
政府代表団は、従業員301人以上の企業には女性社員の参画促進に関する行動計画の策定と、女性社員の割合に関する数字の公表が義務付けられているが、この義務を従業員101人以上の企業に拡大する計画があると述べた。近年、民間企業では管理職に占める女性の割合が徐々に増加していると述べた。 また、岡田氏は、日本では夫婦別姓に関する世論が大きく分かれていると述べた。政府は、世論を注視しながら、そのような制度の導入に関する審議を進めていく。多くの公式文書において旧姓も併記できるということを広めるようにしていると述べた。
閉会の言葉で、岡田氏は、代表団は誠実に意見交換を行ったと述べ、代表団が提供した回答が委員会にとって有益なものとなることを期待していると結んだ。
終わりにあたりアナ・ペラエス・ナルバエス委員長は、今回の対話は、日本の女性を取り巻く状況についてさらなる洞察をもたらしたと総括した。そして、委員会は、締約国が国内のすべての女性と女児のために、条約のより包括的な実施に向けた努力を続けるよう奨励した。
日本の代表団は、内閣府、内閣官房、警察庁、子ども家庭庁、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、および在ジュネーブ日本政府代表部の代表者で構成された。
委員会は、10月25日の89会期終了時に日本に関する総括所見を発表する。締約国の報告書を含む委員会の作業に関する全文書は、今会期のウェブページで閲覧できる。日本審議の要約報告はこちらで見ることができる。委員会の公開会議の動画は、UN Web TV ウェブページからアクセスできる。
審査会場でのやりとり: IMADR Xのポストより一部掲載