2024.04.26

女性差別撤廃委員会の一般勧告40草案

女性差別撤廃委員会は、意思決定プロセスにおける女性の平等で包括的な代表に関する新たな一般勧告40の草案を公開しました。

1979年12月18日の総会決議34/180で採択された女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(以下女性差別撤廃条約)は、第7条と第8条で、公的、政治的分野における女性の平等なアクセスの原則を認めています。現在、189の国連加盟国が女性差別撤廃条約を批准しています。

1995年9月15日、北京女性会議は、女性の権利とエンパワーメントを促進する最も先進的な計画の1つである「北京宣言及び行動綱領」を全会一致で採択しました。その宣言の第13項のもと、189の会議参加国は「あらゆるレベルでの女性の積極的な参加と意思決定および権力へのアクセスなしに、平等、開発、平和の目標は達成できない」という信念を再確認しました。

この要件は、経済・社会・政治生活のあらゆる分野に通じることであり、条約の実施と女性の基本的権利および男女間の実質的平等の達成における基本原則となっています。

特に、女性差別撤廃条約第7条と第8条では、締約国が「自国の政治的・公的生活における女性に対する差別を撤廃するためにあらゆる適当な行動をとること、特に、女性に対しa~cに記載してある権利を男性と平等の条件で保障すること」また、「女性が国際的なレベルで差別なしに男性と平等に自国を代表し、国際機関の活動に参加する機会を保障するためのあらゆる適当な措置をとること」を締約国の義務としています。

上記のような努力が国家のコミットメントを高め一定の成果を出しているにも関わらず、今日、女性の議会メンバーは全体のわずか25%を占めるにすぎません。また、その進化は緩慢で、ランダムで、制度化されたものではないため、反発を受けやすいです。女性たちは最高レベルの意思決定、平和交渉そして国際会議にはほとんど参加していません。世界的に女性が意思決定システムに長期的かつ構造的に参加していないという事実は、深刻な人権侵害を引き起こすだけでなく、人口の半分がもつ潜在的な力を世界から奪っていると言えます。

新たな一般勧告は公平性の持続可能性、新たなバリューチェーンの要素としての公平性を目標に掲げ、1997年に採択された一般勧告23を補い、更新するものです。また、公的および民間セクターにおける、意思決定システムへの女性の公平かつ包括的な代表を実現するためのガイダンスを締約国に提供するものでもあります。基本的人権としての公平性の達成には体系的な行動が必要です。

パンデミック、気候変動、長期化する紛争、経済危機など、世界に影響を及ぼす危機や変動の増加は、古典的な家父長制的ガバナンスモデルを見直す時期にきていることを示しています。また、意思決定に重大な影響を与えうるAIなど、デジタル化がもたらす急速な変化を考慮し、女性と男性の実質的平等を促進する形で形成される必要があります。

一般勧告40は公正性と包括性を基本原則とし、変革の先導力となるガバナンスの新たなアプローチを目指しています。また、これが持続可能な開発目標を達成するために極めて重要であります。

女性差別撤廃委員会は2024年10月に開催される第89会期にて一般勧告40を採択する予定です。

一般勧告40(草案)の目次は以下のようになっています。

 I.     はじめに 

II.    平等で包括的な意思決定を通じてゲームチェンジをもたらす課題に取り組む

A.    平和と政治的安定

B.    持続可能な経済

C.    地球温暖化と災害リスクの削減

D.    人工知能を含む技術開発 

III.  規範的枠組み

A.    女性が平等に意思決定に参加する権利

B.    意思決定にけるジェンダー平等と交差性の代表

IV.   範囲と目的

A.    意思決定プロセスにおける50:50 のジェンダー的公平

B.    意思決定システムにおける交差性を表す代表と全ての女性の包括

C.    意思決定システムへの包括的なアプローチ

D.    意思決定システムにおける女性の平等な権力

E.     平等で包括的な意思決定システムの構造的変革

F.     意思決定システムへの市民組織の参加 

V.     平等で包括的な意思決定に関する締約国の義務 

A.    無差別および実質的平等の確保

B.    女性の間での交差性および多様性

C.    政治的および公的意思決定におけるジェンダー的公正

D.    経済的意思決定におけるジェンダー的公正

E.     男性と対等な条件での女性の参加

F.     私的領域における意思決定でのジェンダー的公正

G.    ジェンダー・ステレオタイプの廃止

H.    エンパワーメントとリーダーシップに向けての教育

I.      ジェンダーに基づく暴力やハラスメントからの自由

J.     意思決定における女性の権利団体の役割 

VI.   国際コミュニティの責任

▶︎ 一般勧告40の草案(全文英語)はこちらからご覧いただけます。

▶︎一般勧告のフライヤー(全文英語)はこちらからご覧いただけます。

▶︎一般勧告のコンセプトノート(全文英語)はこちらからご覧いただけます。

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