入管法改正案に強い懸念を抱くNGOは以下の共同要請書簡を提出しました。IMADRも賛同しています。
「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」に関し不当な差別を受けないための立法措置に向けた規定を追加し修正することを求めるNGO共同要請書簡
内閣総理大臣 安倍晋三 殿、 法務大臣 山下貴司 殿
日本においては、人手不足に対応するために外国人労働者が急増しており、2020年東京オリンピック・パラリンピックを機会に多くの外国人が日本を訪れることも見込まれております。
このように日本に滞在する外国人や外国にルーツを持つ人びとの大幅な増加が見込まれ、かつ、外国人労働者に対する政策も大転換を迎えているにも拘らず日本には、多くの国々と異なり、人種、民族、肌の色、出身国、宗教等による不当な差別的取り扱いを禁止する法律がありません。
外国人受け入れについて日本が転機を迎えるにあたっては包括的な政策の導入が必要ですが、その基礎となる重要な施策の一つが人種差別を防止・禁止する法律です。また、人種差別を撤廃する政策をとることは日本政府の国際法上の責務でもあります。
外国人等が不当な差別や排除から守られることは、当事者である外国人等にとっての基本的人権であることは言うまでもありません。不条理な差別や排除を経験すると、人の心は深い悲しみを経験し、屈辱を感じ、その尊厳は傷つき、「多大な苦痛を強いられ」ます(「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」、いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」前文)。
そして、ヘイトスピーチをはじめとする差別は、社会に憎しみと暴力を蔓延させて「社会に深刻な亀裂を生じさせてい」ます(同上、ヘイトスピーチ解消法前文)。外国人等が不当な差別や排除から守られる日本社会で共生できることは、日本社会にとっても極めて重要かつ有益なのです。
そこで政府に対し、下記の規定を入管法改正案に修正して追加するよう求めます。
<入管法改正案を修正して追加すべき規定案>
●政府は、外国人がその人種、民族、肌の色、出身国、宗教等により不当な差別を受けることなく日本社会で共生していくための施策を講じるとともに、そのために必要な法制上の措置については、この法律の施行後二年以内を目処として講ずるものとする。
賛同団体【50音順】(16団体、2018年12月4日正午現在)
Anti-Racism Project(ARP)
特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク
外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)
「外国人・民族的マイノリティ人権基本法」と「人種差別撤廃法」の制定を求める連絡会(外国人人権法連絡会)
特定非営利活動法人 コリアNGOセンター
在日大韓基督教会 在日韓国人問題研究所(RAIK)
差別・排外主義に反対する連絡会
公益社団法人自由人権協会
人種差別撤廃NGOネットワーク
特定非営利活動法人 名古屋難民支援室
NPO法人難民自立支援ネットワーク(REN)
日本カトリック難民移住移動者委員会
反差別国際運動
国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ
認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ
ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク