2018年創立30年を迎えたIMADRは、第30回総会を6月6日東京で開催しました。総会では人権を取り巻く状況が世界的に厳しい今、IMADRは今後も差別撤廃の努力を反差別を闘う人びとおよびさまざまなステークホルダーとともに続けていくことが確認されました。総会で採択したアピール文を以下に紹介いたします。記念シンポジウムでは、IMADR共同代表理事の二マルカ・フェルナンドがアジアにおけるIMADRのこれまでの歩みを振り返りました。次いでゲストとしてお招きしたアナスタシア・クリックリーさん(元国連人種差別撤廃委員会委員)が、国連および国際社会における人種差別撤廃の取り組みについて報告をしました。IMADRからは、ロマ民族の理解、ダリット女性と部落女性、そしてヘイト・スピーチに関する活動について報告をしました。
二マルカ・フェルナンド共同代表理事(左)とアナスタシア・クリックリーさん
反差別国際運動30周年にあたって アピール
2018年、反差別国際運動は創立30周年を迎えました。これまでの反差別の闘いを振り返り、未来に向けてあらたな一歩を踏み出します。私たちはこれからも人種的差別と日々闘っている人びとと共に歩み続けていくことを誓います。
1988年1月25日、『世界にはアパルトヘイトと闘い、不可触制と闘う希望がある。不正義と差別をなくすために立ち上がろう』という信念のもと、反差別国際運動は創設されました。そのルーツと確信は、不可視化され抑圧されてきた被差別部落の人びとの解放を宣明した1922年の水平社宣言にありました。
源流は日本にありながら、反差別国際運動は長年の運動を通して、その目的と行動はひとつの地域、あるいはひとつの思想体系に限定されるものではないことを認識するようになりました。反差別国際運動はこうして、世界のあらゆる地域において、人間の尊厳と平等に関わる課題の取り組みの一翼を担うようになりました。
世界は今、これまでにない困難に直面しています。巨大な力が争い合い、世界あちこちで二極化をもたらしています。また、富める者たちによる目にあまる地球資源の搾取的利用が深刻な問題を引き起こし、特に先住民族とマイノリティのコミュニティの生活基盤を脅かしています。
全世界が目指している「誰も置き去りにしない」持続可能な発展には、差別を被ってきたコミュニティの主体的で自由な参加の保障が不可欠です。しかし、排除と追放が解決の一手段となっている世界の現状を考えたとき、私たちは、闘いはまだ道半ばであることを認めざるをえません。未来の世代によりよい世界を残すために、私たちは、すべての人の人権実現という共通の目標のもと、さまざまな運動団体とつながりながら、これら課題に取り組んで行きます。
これまでの30年を支えてくれたのは連帯の力でした。反差別国際運動は、世界の人びととの連帯を通して、これからも差別撤廃と人権確立のために闘い続けていくことを宣言します。
2018年6月6日
反差別国際運動第30回総会