スリランカのマイノリティ女性と移行期の正義、山城博治さんの恣意的逮捕・長期拘禁、人種的プロファイリングと憎悪扇動の問題について訴えました。
反差別国際運動(IMADR)は2月27日から3月24日にわたって開催された国連人権理事会34会期において、以下の活動を通して国際社会への働きかけを行いました。これらの活動は皆様からの寄付と会費によって支えられています。ぜひ寄付または会員としてのご支援をご検討ください。
口頭声明の発表
要約:2016年10月17日逮捕され、その後も別の2件の容疑で繰り返し逮捕された沖縄平和運動センター議長の山城博治さんに対する一連の措置を恣意的逮捕として抗議しました。また、約5カ月に及ぶ長期拘禁と4カ月半以上も許されなかった家族との面会措置を非難し、山城さんを即時解放するよう求めました。
声明(英文)はこちら *ヒューライツ大阪、シビカス、フランシスカンズ・インターナショナルとの共同声明。沖縄国際人権法研究会も賛同。
要約:マイノリティ問題に関する国連特別報告者のスリランカ公式訪問を歓迎し、特別報告者から政府への勧告を支持しました。移行期の正義に対するマイノリティの人びとの信頼を得るために、マイノリティが被害者となった殺害やヘイトクライムのケースを政府が迅速に調査および訴追することを求めました。また、現在議論されている新憲法に非差別の原則を盛り込むと共に、マイノリティ言語の保存やカースト差別撤廃のための措置を取るよう求めました。特別報告者の勧告であるマイノリティの権利を保護促進するためのマイノリティ委員会の設置を支持しました。
声明(英文)はこちら * NGO発言時間制限により読み上げできず。
要約:政治家が移民、庇護希望者および難民をスケープゴートとするヘイトスピーチによって差別的取扱いが正当化されていることを指摘すると共に、ジェンダーや性的指向、性自認に基づく差別との複合差別の問題も同時に議論されるべきと強調しました。人種差別撤廃条約の実施が人種的プロファイリングと憎悪扇動の防止と対応に不可欠とし、特に人種主義に基づくヘイトスピーチに関する4条の実施を強調しました。その上で、日本を含めた18か国が4条を留保していることを指摘し、撤回を求めました。
声明(英文)はこちら
要約:スリランカ国内の政治的な駆け引きにとって移行期の正義実現のための取り組みが後回しにされていることを懸念し、軍部の関与によって土地の返還や政治犯の釈放といった様ざまな人権問題への取り組みが遅れていることを指摘しました。最後に、スリランカの事例は人権理事会の成功例と呼ぶには時期尚早であり、継続した国際的な働きかけが必要であると呼びかけました。
声明(英文)はこちら
書面声明
フランシスカンズ・インターナショナルとマイノリティ・ライツ・グループの共催。
・議長:アナスタシア・クリックリー、国連人種差別撤廃委員会議長
・ゲストスピーカー:リタ・イザック・ンダイェ、マイノリティ問題に関する特別報告者
・スピーカー:
二マルカ・フェルナンド共同代表理事
サロジャ・シバチャンドラン、女性と発展センター代表
ジェンシラ・マジード、前ムラティブ地域タスクフォース委員
概要:スリランカにおける移行期の正義の実現プロセスにおいて、タミル、ムスリムおよびその他のマイノリティと女性たちが直面する課題を共有し、ました。サイドイベントでは移行期の正義のプロセスにおいて単にマイノリティのコミュニティ代表が参加するだけでなく、マイノリティ女性たちが直面する課題が反映されるために女性たちが意思決定に参加できる環境の必要性を強調しました。最後に特別報告者がマイノリティ女性はマイノリティ・コミュニティ内の家父長制によって周縁化される一方、女性運動からもマイノリティであることによって見過ごされているという問題を指摘しました。
詳しいサイドイベントの報告(英文)はこちら
フォーラム・アジア、ヒューマンライツ・ウォッチ、フランシスカンズ・インターナショナルとマイノリティ・ライツ・グループの共催。
・議長:デイビット・ウェイリー、元国連常駐調整官
・基調講演:パイキアソシ・サラヴァヌムットゥ、元コンサルテーション作業部会主事
スピーカー:
二マルカ・フェルナンド共同代表理事
サロジャ・シバチャンドラン、女性と発展センター代表
ジェンシラ・マジード、前ムラティブ地域タスクフォース委員
概要:元主事のサラヴァヌムットゥさんより、コンサルテーション作業部会が行った移行期の正義実現のためのメカニズムの意見を集めるための全国規模のコンサルテーションにおける経験を共有してもらいました。その中で、作業部会の報告書を政府が積極的に採用していないことに遺憾をしめしました。また、3人の市民社会からの代表が作業部会報告書についてそれぞれの見解を共有しました。その上で、スリランカ政府自身が設置した作業部会の報告書を政府が正式に受理し、勧告についても公式に見解を示しその内容を実施することを求めました。
詳しいサイドイベントの報告(英文)はこちら