反差別国際運動日本委員会(IMADR‐JC)は、6月23日に、東京の松本治一郎記念会館で第25回総会を開催しました。総会には、全国から会員約80人が参加し、2013年度の活動報告、会員報告、決算報告、監査報告を受け、2014年度の活動計画、役員体制等を承認しました。また、総会では、総会アピールを採択しました。
なお、第2部では、部落解放同盟中央本部の組坂繁之中央執行委員長、北海道アイヌ協会の阿部ユポ副理事長、琉球弧の先住民族会の渡名喜守太さんからアピールがありました。
総会アピールの全文は、以下の通りです。
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反差別国際運動日本委員会(IMADR-JC)
第25回総会アピール
日本の平和主義と人権確立に向けた取り組みが、今、戦後最大の挑戦を受けています。安倍政権は、戦後体制からの脱却として、集団的自衛権を認め、武器輸出を認め、人権は国家が賦与するものであるという論を説き、特定秘密保護法など、知る権利・伝える権利を脅かす政策案を次々に打ち出し、強行的に押し進めようとしています。集団的自衛権の閣議決定には断固反対します。公的な情報開示の大原則に反する国家機密保護は、人びとが知らない間に日本の軍事化を加速させることを可能にし、3・11福島第一原発の爆発に伴う放射性被爆の情報など、政府による情報の隠蔽の現状をさらに悪化させる問題をはらんでいます。
アジアへの侵略と植民地支配の反省をふまえた憲法をないがしろにし、歴史認識や領土問題で隣国との対立を際立たせる安倍政権の姿勢は、民間による排外的なナショナリズムと在日コリアンへのヘイトスピーチ(差別扇動)を助長しています。「朝鮮人は皆殺し」等と叫びながら街宣するヘイトスピーチを私たちは絶対に許すわけにはいきません。
日本は、憎悪や差別の扇動を禁止する自由権規約や人種差別撤廃条約に加入し、条約の履行監視委員会から何度も差別禁止法の制定を勧告されてきましたが、何の規制も行なっていません。本年7月には自由権規約委員会が、8月には人種差別撤廃委員会が日本の審査を行ないます。反差別国際運動日本委員会は、マイノリティコミュニティの人びとと共に、その声を国連に届け、国連から厳しい勧告が出されることが見込まれます。差別の扇動や官民双方による人権侵害を増幅させないために、その予防策が国会において議論され、早期に人権侵害救済法や差別禁止法が制定されることが強く求められています。
反差別国際運動日本委員会は、本日の総会で、これらの課題を含め、6つの柱(注)に重点をおいた活動計画を採択しました。今年は狭山事件により石川一雄さんが別件不当逮捕されて51年です。再審請求において検察による証拠開示が義務化されていないのは、日本の刑事訴訟の欠陥であり、何としても検察に証拠を開示させ、東京高裁に事実調べ、再審の開始を強く求めていきます。本日ここに集った私たちは、今一度、世界の水平運動への思いと挑戦を受け継ぎ、さらにマイノリティの国際連帯を促進し、差別の撤廃と国際人権の発展に全力を尽くしていくことを決意し、第25回総会アピールとします。
2014年6月23日
反差別国際運動日本委員会第25回総会
(注)
1.人種主義・人種差別の撤廃およびマイノリティの権利確立に向けた取り組みと、
国際人権基準の活用。
2.部落解放運動とダリット権利確立の運動の連帯促進、および部落とロマの連携の促進。
3.司法における人種主義の撤廃と、狭山事件再審に向けた国内外の世論喚起の取り組み。
4.国連の先住民族権利宣言に則ったアイヌ民族による権利確立の取り組みへの連携・参加。琉球・沖縄の人びとの取り組みへの連携・参加。
5.搾取的移住・人身売買に関する政府への要請と意識啓発。
6.マイノリティ女性に関する政府の政策立案・実施を求める活動。
マイノリティ女性間の交流と連携強化。