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国連人権理事会61会期 ― 38本の決議を採択し閉幕

2026.04.07

国連人権理事会61会期(2026年2月23日開幕)は、38本の決議を採択し、3月31日に閉幕しました。IMADRの活動に関係するものを中心に、採択された決議案の一部を紹介します。

人権理事会61会期の様子
(©️UN Web TV)

◼️ 障がい者包摂的なデジタル技術と交通や住宅を含むインフラに関する決議案
 あらゆる年齢の障がいのある女性や少女は複合的かつ交差的形態の差別に直面しており、障がいのない女性や少女、障がいのある男性や少年と比べても、地域社会への参加が困難なことを懸念する。また、先住民族、アフリカ系の人びと、移民、難民、占領下にある人びとなど、歴史的に周縁化されてきたグループに属する障がい者は、包摂的なデジタル技術と交通や住宅などのインフラへのアクセスが困難であることを懸念する。
 こうした状況に対し、以下のことを各国に求める。
⚪︎障がい者や当事者団体と十分に協議して、あらゆる設計や意思決定を行うこと、
⚪︎ジェンダーや年齢に配慮した障がい者包摂的なインフラを国家開発計画、政策、予算、国際協力や開発のための資金調達に統合すること、
⚪︎適切な住居は適切な生活水準の権利の一部であるという観点から、公的機関および民間機関による障がい者に対するあらゆる形態の差別を禁止すること。

◼️ 民族的、宗教的、言語的マイノリティに属する人びとの権利に関する決議案
 民族的、宗教的、言語的マイノリティに対するアイデンティティの軽視、差別、経済的な周縁化、ヘイトスピーチ、人権の享有の否定は、暴力に先行して生じることがあり、重大な犯罪や紛争のリスクを示す早期警戒の兆候として捉えるべきであることを懸念をもって留意する。また、民族的、宗教的、言語的マイノリティほど激しい紛争や対立に巻き込まれ、深刻な人権侵害を受ける。とりわけ、人口移動、身分証明書の取り消し、難民の流入、強制退去などによる強制的な移動を余儀なくされていることを懸念する。
 こうした状況に対し、以下のことを各国に求める。
⚪︎国籍を持つ権利の促進などを通して、無国籍を防ぎ、解消するための取り組みを強化すること、
⚪︎マイノリティの文化活動の支援を含め、教育プログラムやマイノリティの言語での教育に資金を充当し、アイデンティティの形成を促進する環境を整備すること、
⚪︎貧困、不平等、差別などの根本的原因に対処する包括的な政策を策定し、すべての人が差別なく基本的な公共サービスを利用できるようインフラを整備し、社会的結束を促進すること、
⚪︎包括的反差別法の制定や実施を促進すること。

◼️ 適切な住居および無差別の権利に関する決議案
 世界中で、何百万人もの人が劣悪な住環境で暮らしており、人種差別や系統的・構造的・制度的レイシズムが、適切な住居の権利の享有にとりわけ影響を及ぼしている。女性の適切な住居への権利が、依然として十分に保障されていないことを懸念する。また、都市部を中心に住宅の高騰が深刻化しており、特に女性や少女、高齢者、若者、国内避難民、移民、難民、先住民族、アフリカ系の人びと、障がい者など、貧困状態にある人びとが、より深刻な影響を受けていることを懸念する。
 こうした状況に対し、以下のことを各国に求める。
⚪︎不動産投機や「不動産の金融化」など、手ごろな住宅価格を妨げている要因を抑制し、ホームレスになることを防ぎ、すべての人が手ごろな価格で住宅を利用できるよう必要な措置を講ずること、
⚪︎気候変動への対応策において、適切な住居の権利を考慮し、環境に配慮した持続可能な住宅の設計、建設、メンテナンス、エネルギー効率化、気候変動へのレジリエンスの向上を促進すること、
⚪︎住宅政策のあらゆる側面において女性が平等に適切な住居の権利を享有できるようにするとともに、特に女性や子どもに対する暴力を考慮した住居の安全と、財産の保有や相続に関する平等な権利を実現するために、立法、その他の改革を行うこと。

◼️ 路上生活者の人権に関する決議案
 先進国、発展途上国いずれにおいても、路上生活者の数が非常に多いことを深く懸念する。路上生活に至る要因は複雑かつ多面的であり、制度的な不平等や極度の貧困、手ごろな価格の住宅へのアクセス不足、雇用機会や社会保障の不足、医療の不足、強制立ち退き、教育へのアクセスの制限や不足、医療機関や矯正施設からの退去後の支援の不足、異常気象や環境劣化、紛争による移動などが含まれることに留意する。
 こうした状況に対し、以下のことを各国に求める。
⚪︎ホームレスを犯罪者とみなす法律を廃止するために必要な措置を講じ、路上生活者が貧困の連鎖に陥るのを助長するような措置を控えること、
⚪︎路上生活者の人権を促進し、予防的保護措置の一環として、国内の状況に適した社会保障制度と施策を強化すること。

◼️ ミャンマーの人権状況に関する決議案
 民間人の殺害や空爆によるインフラ破壊など、ミャンマー軍による民間人に対する国際人道法違反の増加、ロヒンギャなど民族的・宗教的マイノリティの強制移動、学校・大学・病院・礼拝所の軍事利用、恣意的逮捕・勾留、ジェンダーに基づく暴力、拷問など紛争下における人権侵害の増加、ミャンマー軍や治安部隊に蔓延する不処罰に強い懸念を表明する。また、ミャンマーにおける対人地雷の製造や使用、ミャンマー軍による子どもに対する無差別攻撃などを最も強い言葉で非難する。
 各国に対し、国際的義務や関連する国連決議を遵守し、国際人道法違反や人権侵害のさらなる発生を防ぐため、ミャンマーへの武器、爆薬、その他の軍事装備の違法な移転や転用の停止を求める。
 ミャンマー軍に対し、以下のことを求める。
⚪︎すべての空爆、攻撃を直ちに停止すること、
⚪︎子どもに対する恣意的かつ違法な逮捕や勾留をやめ、収容施設や刑務所にいるすべての子どもを即時無条件で解放し、社会復帰と地域社会への再統合を確実にすること、
⚪︎政治犯の処刑や国際人権法に反する死刑の執行を直ちに中止し、今後行わないこと。

◉ 任期が延長された特別報告者
拷問;意見および表現の自由;マイノリティ問題;適切な住居および無差別の権利;移住者の権利;人権擁護者;レイシズム、これらの課題に関する特別報告者の任期が3年延長された(2028年まで)。

◉ 新しく任命された特別報告者
子どもの売買、性的搾取、性的虐待に関する特別報告者として、日本のキハラハント愛さんが任命された。

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