国連
国連人権アップデート No.31 アフリカに還る/刑事司法制度のなかのレイシズムと闘う
■アフリカに還る ― アフリカ系の人々が目指す独自の地位(6月13日)
ベナンは、世界中のアフリカ系の人々を対象に市民権申請の受付を開始することを決定しました。アフリカ諸国の中で歴史的なつながりを正式に認める国が、また一つ増えたことになります。
ベナンで制定された2024年9月2日のアフリカ系の人々の市民権に関する法律は、2025年4月9日法でさらに明確化されました。申請の要件は少なく、好意的に受け止められています。アフリカ系の人々がベナン国籍を取得申請する場合、18歳以上であること、他のアフリカ諸国の国籍を有していないこと、そして家族関係の書類または国家が認めるDNA検査による祖先の証明を提示するだけで済みます。
ベナンは、アフリカ系の人々とアフリカとの既存のつながりを正式に認めるこの取組みは、アフリカ系の人々のための国際の10年の文脈で行われていると強調します。
「アフリカ系の人々は、どこかの遠い親戚の人ではありません。彼らは私たちの子ども、兄弟、姉妹です。私たちの集団的アイデンティティの不可欠な部分を体現しています。書彼らに帰還の権利を認めることは、『あなたはこの土地から決して離れたことはなかった。アフリカはあなたの故郷です。私たちは両手を広げてあなたを歓迎します』と言ってることになるのです。」ベナンのオルーシェグン・アダジ・バカリ外務大臣は、2024年9月のニューヨークの国連総会における演説でそう述べました。
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Returning to Africa: People of African descent seek unique status
■刑事司法制度のなかのレイシズムと闘う (6月11日)
「ブラジルの刑務所は、植民地時代に奴隷が収容されていた『センザーラ』の現代版です」と、アフリカ系ブラジル人の検察官、リビア・サンタナ・ヴァス氏は言いました。
ブラジルでは数少ない黒人検察官の一人であるサンタナ・ヴァズ氏は、圧倒的に白人中心の司法制度が、アフリカ系の人々を人間として扱わない状態を継続していることを目撃してきたと言います。これは、法を守ると主張しながらも、現実とは矛盾しています。
国連人権高等弁務官事務所によると、システミックな人種差別は世界の国々に根深く存在し、刑事手続きのすべての段階——黒人に対する最初の逮捕から起訴、裁判、有罪判決、量刑、そして刑の執行まで——に影響を及ぼしています。
こうした現実は、国連人権理事会から警察と刑事司法におけるシステミックな人種差別を調査し、提言を策定し、その実施状況を監視する任務を委ねられた「警察と刑事司法における人種的正義と平等を促進するための国連専門家メカニズム(EMLER)」の活動を通じて、国際的に検証されています。EMLERは、サンタ・アンナ・ヴァズ氏のような専門家の知見とシステムによる苛酷な被害者の実体験と主張を反映させるスペースを創出しています。
「ブラジルの司法システムにおいて黒人女性であることは、冷酷な排除のルールを正当化する例外である」と彼女は述べました。
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Tackling racism in criminal justice systems worldwide
■第14回国連ビジネスと人権フォーラムは、「危機と変革の中でビジネスと人権のアクションを強化する(Accelerating action on business and human rights amidst crises and transformations) 」をテーマとして開催されることが決まりました。会期は2025年11月24日から26日まで、会場は国連欧州本部(ジュネーブ)内のパレ・デ・ナシオンです。
第18回マイノリティ問題フォーラムは、2025年11月27日・28日に、同じくパレ・デ・ナシオンで開催されます。
翻訳・抄訳 反差別国際運動(IMADR)