2024.12.26

国連人権アップデート 12/26/2024 No.22

■12月18日は世界移民の日

移民に関する国連グローバルコンパクト (Global Compact for Safe, Orderly and Regular Migration, GCM、2018年採択 ) の実施状況をモニターする隔年の報告書が今年公表されました。

国連事務総長が本日発表した報告書は、移民の死亡や行方不明のリスクを軽減するための具体的な措置を推奨しており、人道支援関係者が窮境にある人々に支援を提供できるようにすることや、行方不明者のデータ収集を改善する必要性を唱えています。(中略) 2014年以降、世界では、7万人近くの移民の死亡および行方不明が記録されており、2023年は8600人近くが死亡し、記録上最も死者数の多い年となりました。「これらの死はすべて防ぐことのできた悲劇です。今回の GCM 報告書には、命を救い、移住者の権利を守るために必要とされている具体的な対策が提示されています。」と、国際移住機関( IOM)の事務局長であり、国連移住ネットワークのコーディネータでもあるエイミー・ポープ氏は言います。

総会の要請に応じた事務総長の GCM 実施に関する第3回目の報告書では、窮地にある移民への人道支援の提供や、行方不明の移民に関する協力体制の強化に関する主要な提言(以下に列挙)が紹介されています:移民の死亡や行方不明を防ぐための具体的な提案、捜索や身元確認の取り組みの強化、被害者の家族への支援、正義・説明責任・救済の提供、移民の死亡や行方不明に関するデータの収集、人道支援を最適化するための移民予測データの共有など。

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Deadliest Year for Migrants Spurs New UN Recommendations to Protect Lives and Rights

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Secretary-General’s 2024 GCM Implementation Report – Saving Lives Recommendations
事務総長報告書の全文はこちら
Secretary-General report 2024

移民の権利は基本的人権である 

ホセとマリアナ(いずれも仮名)は、グアテマラ出身の兄妹で、数週間前からメキシコのソリトにあるCasa del Migrante に身を寄せています。 二人のアメリカ合衆国への旅は、よりよい生活の夢から始まりましたが、アメリカ国境付近で、その希望は悪夢に転じました。組織犯罪グループに誘拐され、死と向かい合わせの状況に追い込まれました。絶望した二人は、グアテマラに残してきた家族に連絡し、家財を売り払って身代金の7,000米ドルを工面してもらいました。見知らぬ土地で釈放され捨て去られたホセとマリアナは、最終的にシェルターにたどり着き、その中で一時的な安らぎをえることができました。今、二人の唯一の願いは故郷に帰ることです。しかし、多くの移民と同様に、彼らには帰郷するための資金がありません。このような話はあまりにありふれています。暴力、貧困、迫害から逃れるために、何千もの移民が命を懸けてメキシコを通過し、時には命を落とす危険に直面しているのです。

Casa del Migrante(移民の家):ここの色鮮やかな壁は避難所以上の意味を持っています。それは尊厳と人権の象徴です。20年以上にわたり、この避難所は移民にとって命綱となり、危険なルートを移動する人びとに重要な支援を提供してきました。Casa del Migranteは、メキシコ北東部の州であるコアウイラ州の州都ソリトにあり、移民ルート上の重要な分岐点に位置しています。工業都市として知られ、「メキシコのデトロイト」とも呼ばれるソリトには、ラ・ベスティア(La Bestia = 野獣)またはトレン・デ・ラ・ムエルテ(Tren de la Muerte = 死の列車)と呼ばれる悪名高い列車が走っています。シェルターの責任者であるアルベルト・シコテンカトル氏は、危険を顧みず、移民の人権を守るために人生を捧げてきました。

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Migrants’ rights are fundamental human rights

翻訳・抄訳: 反差別国際運動(IMADR)

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