2024.04.22

国連人権アップデート 04/19/2024 No. 8

インターセックスの人たちとその権利にとって「大きな勝利」(4月5日)

 4月4日、人権理事会第55会期は、加盟国に対してインターセックスの人びとに対する差別、暴力、有害な慣行と闘う取り組みを強化するよう求める決議を採択しました。この画期的な決議はまた、加盟国に対し、ステレオタイプ、誤解や不正確な情報の拡散、スティグマやタブーといった根本原因に対処し、生得的に性徴に差異を持つ人びとが到達可能な最高水準の身体的・精神的健康を享有できるよう取り組むことを求めています。
 オビオマ・チュクウィケはナイジェリアの全寮制女子校に通っていたとき、自分が女子なのか男子なのか自覚がありませんでした。「みんな、私の体のことが気になるようで、あなたは『女の子?』『男の子?』って聞いてくるんです。『知らない。私は私よ』、と答えていました。」
 カイスリ・シルヤネンは、フィンランドでの思春期の頃の秘密と沈黙をこう振り返ります。「バイナリーな世界観に当てはまらないというだけで、完全に皆のなかに入っていない、居場所がないという感覚をもっていました。」
 南アフリカのクリスタル・ヘンドリクスは、自分には初潮はこないということが分かるまで、「私はふつうの女の子」と思って育ちました。「だから、こんな人間は世界で私だけだと思っていました。学校では一人ぼっち。不適格な人間だと感じていました。よくここまで生きてこられたなぁ、時々そう思います。」

 マウロ・カブラル・グリンスパンは、13歳のときにアルゼンチンで小児科を受診したことが始まりとなり、その後、長年にわたりトラウマとなるような医療処置、心理療法、手術を繰り返し受けたきた痛々しい記憶を抱えています、「彼らは、私の体はそのままでよいということを受け入れられなかった。残忍な医療暴力でした。」
 世界中で、インターセックスの人びとは差別、スティグマ、偏見に苦しむことが多く、生涯にわたりいくつもの権利侵害をうけています。インターセックスの人びとは、男性か女性かという典型的な二元的概念に当てはまらない性の特徴を持って生まれてきます。今週、チュクウィケ、シリャネン、ヘンドリクス、カブラル・グリンスパンは、多くの人権擁護者やインターセックス団体とともに、長年にわたるアドボカシーと草の根キャンペーンの集大成となる節目を祝いました。

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A “big victory” for intersex people and their rights

ロマの過去を記憶する: 「私たちはここにいる。私たちの人間性を尊重して!」(4月8日)

「物語を伝えなくてはいけない。物語を蘇らせ、現実のものにしなくては」エリサ・コスタは言います。「アメリカ大陸のロマ民族メモリーマップの作成に携わることは、『私たちはここにいる。私たちの人間性を尊重して』と表明するための一つの手段です。」
 コスタは、ブラジルのロマ民族の歴史と人権を促進する市民団体メイル・サラ・カリ国際協会の会長です。彼女は、国際ロマ・デーでパートナー連合が「アメリカ大陸ロマ民族メモリーマップ」プロジェクトを立ち上げたときにそのように言いました。
 国連人権高等弁務官事務所がコーディネートする「アメリカ大陸ロマ民族メモリーマップ」は、米国からアルゼンチンまで、アメリカ大陸のロマ民族コミュニティの記憶の場所を認識し讃えるため、クラウドソーシングを使って始められました。このプロジェクトは、ロマの権利と包摂の強化、ロマの歴史に関する社会の記憶の促進、ロマが直面する人種差別である反ジプシー主義との闘い、こうした取り組みを結集させます。

「アメリカ大陸ロマ民族メモリーマップ」のプロジェクト・コーディネータである国連人権担当官アリーン・ミクロスにとって、このイニシアチブにより、アメリカ大陸におけるロマの人権侵害の過去と、現在への影響について、人びとが認識を深めることを目的としています。ブラジルのロマ民族であるミクロスは、反ジプシー主義に対抗するためには、記憶に刻むことが鍵になると言います。

「歴史上、ロマ民族の記憶を消そうとする試みが何度も行われてきました。私たちの記憶は、私たちのアイデンティティ、世界観、存在の一部です。私たちには記憶に対する権利があります。また、私たちには、ロマ民族が過去に受けた迫害や人権侵害の真実を知る権利もあります。そうすることで、私たちはすべての人にとって公平で平等な未来を求めることができるのです」と述べました。

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Memorizing the Romani past: “We exist, respect our humanity”
プロジェクトについてはこちら Romani Memory Map for the America 

■人種に関する正義と法執行における平等を進めるための専門家メカニズムは、同メカニズムの年次報告書「正義、説明責任そして賠償」作成にあたり情報提供を呼びかけています。この報告は今年9月の人権理事会に提出されます。締め切りは5月24日。詳細はこちらから
Expert Mechanism to Advance Racial Justice and Equality in Law Enforcement
Report on the Justice, accountability and redress

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