人種差別撤廃委員会は、2023年4月11日から28日まで第109会期を開き、アルゼンチン、ニジェール、フィリピン、ポルトガル、ロシア、タジキスタンの審査を行いました。これらの国に対する委員会の総括所見は 109会期のWebページ で閲覧できます。
会期中、委員会は、パキスタンからノルウェーへの人身取引の関与で有罪判決を受けたパキスタン出身のノルウェー市民についての個人通報案件の審査も行いました。当該個人の裁判前勾留中、裁判所は、その個人がパキスタン出身であるという背景は逃亡リスクの一因になるとみなしました。通報者は、本条約のもと、そのような意見は個人の権利を侵害するものであり、逃亡リスクありとした裁判所の判断には個人の民族性を不釣り合いに重視したことが関係しており、不当な抑留であると述べています。委員会は、通報者により提出された事実は条約違反を示すものではないと結論をだしました。しかしながら、委員会は締約国に対し、逃亡のリスクの査定は、個人の国籍や民族性のみだけでなく、客観的事実に基づくべきであると示しました。
委員会はまた、チリ、シンガポール、タイ、スイスにより提出されたフォローアップ報告書の検討も行いました。
早期警戒・緊急措置手続きのもと、委員会は、北・中・南米におけるハイチからの移民、難民、庇護申請者の状況に関する声明を採択しました。声明は、関係国に対し、人種や肌の色、世系、国民的および民族的出身に基づくものを含む差別的慣行を防止かつ撤廃するため、移動者に関して、特にハイチからの移動者に不釣り合いな影響を及ぼす、移民、難民、庇護申請者に関する政策と法律を見直すよう要請しています。
委員会は人種差別と健康の権利に関する一般的勧告の推敲も進め、その第一次草案を採択しました。これに関する情報提供はあらためてウェブサイトで呼びかけられ、地域レベルでの協議も予定されています。
委員会の公開会議の要約はこちら、それらのウェブキャストビデオはこちらを参照。総括所見およびその他会期に関する文書はこちらを参照してください。
次の人種差別撤廃委員会開催は2023年8月7日から31日までで、クロアチア、イタリア、ナミビア、セネガル、トゥルクメニスタンそしてウルグアイの審査が予定されています。