2017.12.1

自由権規約委員会  日本の人権政策に厳しい問いかけ

2017年11月2日、自由権規約委員会は次の第7回日本報告書審査でとりあげる課題リスト(事前リストオブイシュー)を採択し、11月30日、その内容が委員会のウェブサイトに公表されました。2014年の審査において大きくとりあげられた人種差別やヘイトスピーチを禁止する法的措置不在の問題をはじめ、在日コリアン、移住者・移住労働者、被差別部落、アイヌ民族や琉球・沖縄の人びとなど、日本のマイノリティおよび先住民族のコミュニティに関する市民的、政治的権利の問題がとりあげられています。2014年の審査以降、日本はヘイトスピーチ解消法、部落差別解消推進法そして技能実習法の制定、施行や、アイヌ民族に関する政策の継続など、勧告で指摘された問題に関する措置をとってきました。しかし、それらは自由権規約委員会が指摘する人権の課題に十分答えるものになっていないことが、今回の課題リストから浮かびあがってきます。

11月16日に採択されたUPR日本審査による218項目の勧告のうち、30以上が人種差別を禁止する法律を求めるものであったという事実も、自由権規約委員会の課題リストに含まれる反差別政策と措置の不在に関する懸念を裏付けています。

この課題リストにもとづき、日本政府は1年後に次回審査のための報告書を作成して委員会に提出しなければなりません。さらにその1年後(2019年頃)には、政府報告書をもとにした委員会の審査がジュネーブで開催される予定です。IMADRが事務局を預かる人種差別撤廃NGOネットワークに集まるNGOは、自由権規約委員会の課題リストの採択に向け、今年7月、市民社会組織からの情報提供としてレポートを提出しました。この課題リストはそれら情報が適切に考慮されたことをうかがわせるものです。なお、課題リストには、その他、特定秘密保護法や共謀罪法など日本の民主的空間を脅かす問題、ジェンダー不平等、性暴力の問題など多数含まれています。

課題リストの部分仮訳 ⇒ 自由権LOI

事前リストオブイシューの原文はこちら

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